セキュリティ製品の検証を手掛ける米NSS Labsは、主要なブラウザ6製品のマルウェア検出率を比較する実験を行い、このほど結果を公表した。
実験では、マルウェアの50%以上がインターネットからのダウンロードを通じて感染している現状を踏まえ、各ブラウザがソーシャルエンジニア型のマルウェアをどの程度検出できるかを調べた。
その結果、MicrosoftのInternet Explorer(IE) 8はマルウェア検出率が69%と、ほかのブラウザに比べ群を抜いて高かった。以下、Mozilla Firefox 3.07は30%、Apple Safari 3は24%、Google Chrome 1.0.154は16%の検出率だった。Opera 9.64は5%、Microsoft IE7は4%で、事実上マルウェア対策が無いに等しい状態だった。
IE 8は、マルウェア対策に関して格段の進歩を遂げ、安定性も優れているとNSSは評価。Apple Safariは24%の検出率を達成したが、対策フィルタの配信が遅いためユーザーが長期間無防備なまま放置されると指摘した。
Google Chromeは最初はFirefoxとSafariを上回る性能を見せたが、その後なぜか検出率が急落し、平均防御率は16%に終わった。クラッシュの回数も多く、その都度タスクマネージャを使って手動でプロセスを終了しなければならなかったとしている。
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