Googleストリートビュー、カメラ位置を40センチ下げる 日本独自のプライバシー対策
Googleが、ストリートビューに日本独自のプライバシー対策を導入する。撮影車両のカメラ位置を40センチ下げるなど、4つの取り組みを発表した。
「Googleマップ」の「ストリートビュー」に掲載された画像に人物が特定できる形で写っていたり、民家の塀の中がのぞき見えるなど、プライバシー問題が指摘されていた問題で、Googleの日本法人は5月13日、撮影車両のカメラ位置を下げるなど、日本独自の対策と取り組みを行うと発表した。
「プライバシー問題に関する意見を多く受け、世界中のチームで議論し、技術開発を重ねてきた」(同社の河合敬一プロダクトマネージャー)結果、4種類の対策を導入。「日本の住宅や、町並み、町の成り立ちに合わせた」という。
対策は、(1)撮影車両のカメラの設置位置を40センチ下げて再撮影する、(2)画像の公開停止依頼を受け付ける専用電話番号を用意する、(3)表札のぼかし処理のリクエストを受け付ける、(4)車のナンバープレートにぼかし処理をする――だ。
撮影用車両のカメラの位置は、従来は地面から2メートル45センチの高さだった。これを2メートル5センチに下げ、民家の塀の中などが写りにくいようにする。再撮影は数カ月以内にスタートするが、「自分の家が写り込んでいる」などとしてこれまでに削除依頼を受けた場所は、再撮影後も掲載しない。
従来の撮影用車両で撮影を終えていて、画像をまだ公開していない地域は、まずは撮影済みの画像を公開。順次再撮影した画像に切り替える。
住宅街の撮影は続ける
削除依頼はこれまでWebか、同社の代表番号から受け付けていたが、今後は削除依頼専用の電話番号「0570-01-0041」で受け付ける。ネットを使えない人からの削除依頼をスムーズに受け付けるための措置だ。
表札のぼかし処理も受け付ける。申請の対象になった表札が、申請した人の自宅のものである場合のみ対応する方針だ。申請は各画像の左下に表示された「問題報告」というボタンをクリックして行う。
車のナンバープレートには、公開済みの全画像を対象にぼかし処理を実施済み。日本で使っている撮影用カメラは他国に比べて解像度が低く、ナンバープレートを自動判別してぼかしを入れるのは技術的に難しかったが、プライバシーへの懸念が多かったため対応したという。「可能な限り処理を施したが、漏れがある可能性もあるため、手動での細かい作業も行う」(河合プロダクトマネージャー)としている。
今後撮影する地域では、カメラの解像度を上げ、人物の顔やナンバープレートの自動認識をしやすくする。
「撮影は商業地に限定し、住宅街は撮影すべきではない」という意見も寄せられているが、「地図の役割はできるだけ多くのエリアをカバーすることで、ストリートビューは、地図の延長線上にある。必要なのは繁華街、商業地域に限らない。家を探すケースなどでは住宅街の地図が生きる」と続ける意向だ。
同社は今後、行楽地や大学など施設内を、自転車を使って撮影し、ストリートビューに掲載する「パートナープログラム」も始める。施設主から直接依頼を受け、無料で撮影して公開。すでに、京都の高台寺と、北海道旭川市の旭山動物園で試験的に撮影を行った。ストリートビューへの反映時期は未定。
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