網膜ディスプレイが活躍「テレスカウター」を体験してみた
ブラザーの網膜ディスプレイを採用したNECの「テレスカウター」。自動翻訳などのデモを通じ、画像が透けて背景と重なり合って見えるのを体験した。
NECは、11月5日に開幕したプライベートショー「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2009」(東京・国際フォーラム、6日まで)で、ブラザー工業の眼鏡型網膜走査ディスプレイを採用した業務システム「Tele Scouter」(テレスカウター)を参考出展している。眼鏡型ディスプレイを実際に装着し、使用感を試すこともできる。
網膜ディスプレイは、目に入れても安全な明るさの光を網膜に当て、その光を高速に動かすことによる残像効果を利用し、網膜に映像を投影する技術。NECのシステムは、ブラザー工業が開発中の眼鏡型ディスプレイを採用。来年11月から出荷する予定で、工場や倉庫の現場支援用途や、コンテンツ配信などへの展開も進めていく考えだ。
デモでは、顔認識システムと組み合わせて顧客情報を表示したり、翻訳技術と組み合わせた自動翻訳システムを体験できる。顔認識システムと組み合わせたデモでは、WebカメラとPCで顧客を判別し、網膜ディスプレイに相手の名前や年齢、住所、購入履歴といった顧客情報を表示する。翻訳システムは日英翻訳に対応し、自分や相手が話した内容とその翻訳文をディスプレイに表示する。
それぞれのデモを試すと、視野の中央にはっきりと顧客情報や翻訳文が表示された。資料は少し透け、うっすらと後ろの景色が見えるが、文字や画像は読みづらいということもなくくっきりと見える。明るい方向を向くと若干見づらくなるものの、室内での利用には十分。ただ、やや重さを感じ、眼鏡が落ちてきてずれてしまうことがあった。
網膜ディスプレイとウェアラブルコンピュータ、管理用サーバなどで構成
ディスプレイは「眼鏡型」だがレンズはなく、フレームの右眼側に網膜走査ディスプレイモジュールが付いている。ディスプレイは、光源モジュールを内蔵した電源ボックスと光ファイバーで接続されている。
光源モジュールから出た光は光ファイバーで網膜走査ディスプレイに届く。光はディスプレイの光走査モジュールで2次元化、接眼モジュールに表示する。
ディスプレイの表示内容は、NECが開発したウェアラブルコンピュータで制御する。Windows CEを採用しており、管理用サーバなどと連携してさまざまなデータを表示できる。
電話やPCが持ち運びできるまで小型化し、次はウェアラブルコンピュータが発展していくだろう──と開発をスタート。ウェアラブルコンピュータの市場を創造することを目的としているという。
関連記事
- 網膜ディスプレイで「テレスカウター」製品化 NEC、ブラザー製品採用
ブラザーの眼鏡型網膜走査ディスプレイとウェアラブルコンピュータを組み合わせたシステムをNECが「テレスカウター」と名付けて製品化。コンテンツ配信などへの展開も進めていく。 - ブラザー、網膜ディスプレイのモバイル化に成功 電池駆動で持ち運び可能に
ブラザーの「網膜ディスプレイ」がモバイル化に成功。RGB3色の半導体レーザー化で光源モジュールを小型化でき、電池駆動も可能になった。 - 網膜ディスプレイ、ブラザーが2010年に発売へ
網膜に光を当てて映像を映す、眼鏡型の網膜走査ディスプレイ(RID)を、ブラザー工業が2010年に発売する計画だ。 - 網膜に映像を投影する眼鏡型ディスプレイ、ブラザーが開発
網膜に光を当て、映像を投影する眼鏡型ディスプレイの試作機をブラザー工業が開発。あたかも目の前に映像が存在しているかのように感じるという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.