重かったXGP投資、外れたストーリー──ウィルコム、自力再建断念への道(1/2 ページ)
PHS事業者のウィルコムは2月18日、自力再建を断念し、会社更生法の適用を東京地裁に申請した。負債総額は昨年末時点で2060億円。企業再生支援機構とソフトバンク、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)に支援を要請。約430万契約を抱えるPHSサービスを継続しながら再建を目指す。
会見した久保田幸雄社長は「このような事態になり、お客などに大変なご迷惑とご心配をかけ、心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。経営責任を明確にするため、久保田社長や喜久川政樹副会長、稲盛和夫最高顧問ら、取締役全員が辞表を提出した。
経営破たんの要因は次世代ワイヤレス通信サービス「XGP」(WILLCOM CORE XGP)への投資負担だ。現行PHSで稼ぎ、XGPに投資するという目論見が外れた上、金融危機の直撃もあってファイナンスに失敗。現行PHS通信速度のネックと3G携帯電話各社の猛烈な競争は、XGPというユニークなサービスを準備する余裕を与えてくれなかった。
ソフトバンクがスポンサーに
今後、支援を要請したスポンサーと再生計画の策定を進める。株主責任を明確化するため100%減資を実行し(資本金50億円)、既存株主の持ち分を一掃した上でスポンサーが出資する形になる見通しだ。
一部報道では、現行PHSとXGPを分離し、APが現行PHS、ソフトバンクがXGPに出資、再生機構は融資にとどめる──というスキーム案を伝えているが、久保田社長は「支援を正式に要請したばかり。具体的にはこれから」と繰り返した。
PHSサービスは従来通り継続する。取引企業との債権も従来通りの条件で弁済する。だが、大株主で端末・基地局供給メーカーでもある京セラは、売掛債権153億円について、大株主としてある程度の放棄を要請されているもようだ(京セラ、ウィルコム売掛債権153億円が取り立て不能・遅延の恐れ)。
連結子会社で沖縄県でPHSサービスを提供するウィルコム沖縄は申請の対象外で、従来通り事業を継続する。
重かった次世代投資
「XGPへの投資が重かった」──久保田社長は会見でそう説明した。
同社は2007年12月に総務省から次世代無線サービスの免許を取得し、09年10月にXGPの本格サービス開始を計画。当初は現行PHSで稼ぎ出したキャッシュフロー(CF)をXGPへの投資に充てる目論見だった。
だが、ソフトバンクが3G料金競争の口火を切り、新興のイー・モバイルがウィルコムお得意のPCデータ通信分野に高速通信と低料金で切り込んでくるなど、環境が激変。「現行PHSからCFを創出するというストーリーが実現しにくくなった」(久保田社長)。目算が外れ始めたところに08年秋のリーマンショックが重なり、約60%を出資する筆頭株主・カーライルグループによる追加出資が決まらない。09年8月には喜久川前社長が事実上更迭され、元ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ社長の久保田社長が就任した。カーライル側の意向だったとされる。
久保田社長がいきなり直面したのが、9月末に約定弁済が迫っていた既存借入金のリファイナンスだ。だがXGP投資がかさんで借入額がふくらんでいたため、金融機関との交渉は難航。同月下旬、返済期限の延長などを求め、私的整理手法の1つである事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請した(ウィルコム、事業再生ADR手続き開始を発表 「サービスへの影響はない」)。「ADR以外の選択肢はなかった」と久保田社長は振り返る。
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