mixiアプリで売り上げ月数千万円 その先に目指す「ARメガネ」――芸者東京の戦略
「セカイカメラ」をはじめとしたAR(拡張現実)サービスが注目を集めている。2008年にARキット「電脳フィギュア ARis」で話題をさらった芸者東京エンターテインメントも、このブームに乗って続編でも出すかと思いきや、そうではない。現在はARとは関係ない、mixiアプリ「おみせやさん」の開発・運営に社内のリソースの大部分を割いている。
なぜいまmixiアプリなのか。「コミュニティーの運営方法を学べ、お金をためられる」と考えたからだという。マイミク同士でアイテムを売買して“おみせやさんごっこ”を楽しむこのアプリの利用者数は120万人。有料アイテムの売り上げは1カ月に数千万円に上る。
mixiアプリで得た経験と資金を使ってこの先「電脳メガネ的なもの作りたい」と田中泰生社長は話す。ARサービスの開発を忘れたわけではないのだ。「地主になりたい」「ご飯と味噌汁になりたい」――定番のプラットフォームとして使われるサービスの提供を目指すという思いが、田中社長の言葉からあふれる。
関連コミュニティー乱立 人気のおみせやさん
おみせやさんは携帯電話専用のmixiアプリ。仮想通貨で購入した“素”をこねて、ケーキやぬいぐるみなどのアイテムを作り、マイミク同士で売買。手持ちのアイテムが増えるたびに「ごほうび」として“素”をもらえたり、自分の店の装飾が豪華になったりする。
ユーザーは128種類あるアイテムのコンプリートを目指し、品ぞろえを充実させていく。mixiには関連コミュニティーが20以上あり、レアアイテムの入手方法や条件といった口コミ情報が盛んにやりとりされている。同社もコミュニティーで要望を募ったり、問い合わせに対応したりして、ユーザーとつながっている。
昨年12月の公開以来、約半年で120万ユーザーに。有料アイテムの売り上げは月に数千万円に上る。発売から約1年半で1万5000本を売り上げたARisで「かなりもうけた」というが、おみせやさんはそれをしのぐ勢いと言えそうだ。
mixiアプリでヒットする秘けつは、mixiでユーザーがどのようにコミュニケーションを取り、つながりを維持しているかをよく観察し、開発することだという。mixiに自然に溶け込むようなアプリを――と田中社長は語る。
おみせやさんには、買い手が売り主に対してコメントを残せる仕組みがある。マイミク同士がコメントでゆるくつながるのは、mixi日記の文化と似ているため、ユーザーに受け入れられやすく、ヒットの要因の1つになったと田中社長はみている。
ARサービスで「ご飯や味噌汁」になりたい
mixiアプリを始めた理由は、「コミュニティーの運営方法を学ぶことができ、お金をためられる」と考えたから。5年後までにプラットフォームとして使われるサービスの提供を目指しており、そのためにはコミュニティーを学び、資金力をつける必要があると判断した。
ARisは「激辛ハンバーガーだった」と表現する。画面のなかのメイドさんを棒で“ツンツン”して遊べるARisは斬新だったが、「ご飯や味噌汁」のように、“定番”にはなれなかったという思いがあるようだ。次こそは、定番と呼ばれるようなサービスを――と意気込んでいる。
アイデアの1つは「電脳メガネ的なもの」という。電脳メガネとは、アニメ「電脳コイル」に登場する眼鏡型のウェアラブルコンピュータ。かけると、実際の街並みに、仮想の街並みやペットなどのデジタル情報が重なって見える。そんなARを使った専用デバイスを提供することで、「呼吸するようにインターネットができたり、知りたい情報が自然に入ってくる」世界の実現を夢見ている。
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