“ハイパー競争”に勝ち残れ 英ソーシャルゲーム大手Playfish、日本参入へ
ソーシャルゲームメーカー大手の英Playfishが日本に参入する。「ハイパー競争」で勝ち残り、日本でも成功するには――副社長が語る。
世界でソーシャルゲーム同士の競争が激しくなっている。ソーシャルゲームメーカー最大手の米Zynga Game Networkに続き、2番手の英Playfishも今年中に日本に参入する。生き残るためには「進化についていく覚悟が必要」――Playfishのクリスチャン・セガストラーレ副社長は、日本のソーシャルゲームメーカーにこう呼びかける。
このほど開催されたmixiのカンファレンス「mixi meetup 2010 -Social Leaders Conference-」にあわせて来日したセガストラーレ副社長は、ゲーム市場の展望や日本戦略を語った。
ソーシャルゲームの競争は「ハイパー」
Playfishは、Facebook、MySpace、iPhoneなど8プラットフォームで、ペット育成ゲーム「Pet Society」やレストラン経営ゲーム「Restaurant City」など15タイトルを展開している。2007年設立の新興企業ながら、5000万ユーザーを抱え、昨年、米Electronic Artsの傘下に入った。
セガストラーレ副社長は、ソーシャルゲームの隆盛で、ゲーム業界が大きく変わってきたとみる。ほかのプレイヤーとのやりとりが生まれるソーシャルゲームは、家族や友人と駆け引きを楽しむボードゲームのようなもの。「ゲームの原点に回帰している」ような動きと話す。
ゲームへのアクセス障壁を下げることが「オーディエンスを呼んでくる」。ゲームを提供するプラットフォームが、プレイステーションやXbox 360といった専用ハードから、ネットサービスや携帯電話、iPhoneアプリに広がることで、利用者が増えている。
動画のオンライン視聴がYouTubeによって気軽になり、多くのユーザーに広がったように、アクセス障壁の低さと利用者の多さが反比例するのは、ゲーム業界に限ったことではないという。Facebookはゲーム業界における「YouTubeのような存在」で、mixiは「日本でFacebookと同じような役割を成しとげているプレイヤーの1つ」と評価する。
セガストラーレ副社長によると、ソーシャルゲーム人口は世界で5億人。「爆発的に成長している。コンテンツ・プラットフォーム両方が進化しているので、成長が加速している」。ソーシャルゲーム同士の競争は「ハイパーだ」と表現する。
生き残るためには「進化についていく覚悟」が必要で、製品の質やユーザーの理解が重要になるという。ソーシャルゲームはユーザー同士が密につながっており、ゲームの評判が口コミで急速に広まるため、ユーザーの好みを理解してゲームを改良することが求められている。
複数のプラットフォームで展開していく「フランチャイズ」戦略や、ブランド力も重要と説く。2008年ごろのApp Storeでは、売り上げ上位に個人が開発したアプリが多かったが、09年は売り上げトップ10のうち7つが大企業などによる「ブランドから発表されたもの」になったと指摘。「ブランドが差別化要因となる」とみる。
日本で成功するためのカギは
Playfishは年内に日本に参入する計画を立てている。日本でのゲーム提供先は明らかにしていないが、「投資を惜しまずやっていきたい」。Zyngaはウノウを買収し、ソフトバンクと組んで日本に参入したが、Playfishも「パートナーシップは模索していく」という。
日本で成功するためのカギは、ローカライズと考えている。「一番大事なのは市場への理解だ。いかに時間がかかろうとも、日本市場に合わせたサービスを提供したい」と、じっくりと腰を据えて取り組む姿勢を強調。ソーシャルゲームメーカーとして日本ナンバーワンを目指し、「所詮外資だよねということではなく、(日本を)理解してリーダーになっていく」と意気込む。
最近、日本のソーシャルゲームをプレイしているという。「恋愛ゲームは斬新で新しいと思った。我々だけだったら絶対思いもつかない」と話し、「まだゲームで恋に落ちていないけど、どうなるか自分では分からない」と笑う。
ソーシャルゲーム市場の今後については「似たゲームがどんどん発表されているが、今後も牧場ゲームが最も人気という可能性は少ない。何かを真似ているようでは、急成長は望めない」とピシャリ。「この市場をどんどん開拓していきたいという思いを持つことが大事」と、日本のソーシャルゲームメーカーに呼びかけている。
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