「Google Instant」でGoogleの検索収入が1週間当たり500万ドル増加
Googleはこの新機能をリリースしたのは“ユーザーの利便性のため”と強調するが、外部企業の調査結果はこの機能が売り上げ増に貢献していることを示している。
米Googleが9月に「Google Instant」を発表したとき、財務アナリストらは、この予測検索技術によって検索収入を増やすのが同社の狙いだと考えた。
ユーザーがキーワードを入力している途中で検索結果の候補をリアルタイムで次々と表示するGoogle Instantは、ユーザーが素早く検索を行うのに役立つため、Googleを使った検索が増え、その結果、同社の検索広告収入の増加につながる、というのがアナリストの見方だった。
Googleでは、Google Instantを開発したのはユーザーエクスペリエンスを改善するためだとしているが、この機能によって同社の売り上げが増えている(1週間当たり約500万ドル)のも事実であるようだ。
検索連動型広告管理プラットフォームのプロバイダーである米Marin Softwareによると、Google.com上にGoogle Instantが登場して最初の2週間で検索広告のインプレッション(表示)回数が9%以上増加し、クリック数は5%以上増加した。
Google Instantのリリース前後の各2週間についてキーワードのデータを比較したMarinによると、同機能のリリース後に広告主の支出が2%増加したという。
各社合計で年間13億ドルの検索広告支出を管理する顧客企業を調査したMarinでは、これはGoogle Instantが登場した結果、実際に検索とクリックが増えていることを示す証拠だとしている。
メディアブログSearch Engine Landは「7〜9月期のGoogleのAdWords収入が約33億ドルであったこと、そしてGoogle Instantのリリース後にAdWordsへの広告支出が約2%増加したというMarinの推定に基づけば、Google Instantの投入後2週間でGoogleは1000万ドルの増収を確保したことになる」と指摘する。
米eWEEKの取材に対して、Googleの広報担当者は「個々の企業や広告キャンペーンの実績データ」についてはコメントできないとしている。
ただし同担当者は、Marinの調査報告の12日前の10月14日に行われたGoogleの7〜9月期決算報告において、Googleで製品管理を担当するジョナサン・ローゼンバーグ上級副社長が行った発言を紹介した。
ローゼンバーグ氏が自ら財務アナリストらに語ったところによると、Googleが予測検索技術のGoogle Instantをリリースしたのは、売り上げ拡大が目的ではないという。
「Google Instantをリリースしたのは、ユーザーにとって利便性が大幅に向上するからだ。実際、売り上げという観点で言えば、その影響はごくわずかだ。また、リソースという点から言えば、相当な費用が掛かる技術だ。ではなぜ提供したかと言えば、ユーザーの観点から見てGoogle Instantは素晴らしい機能だと思うからだ。データもそれを裏付けている」(ローゼンバーグ氏)
Googleでは、検索広告収入を増やすためにGoogle Instantを投入したわけではないとしているが、ローゼンバーグ氏をはじめとする同社幹部は、これが増収につながることは分かっていたはずだ。常識的に考えれば、Google.comでの検索が増えるということは、表示される広告が増えるということであり、それはAdWords広告のクリック数とインプレッション数が増えるということだ。
Marinの調査データは、Google InstantがGoogleの収益に大いに貢献していることを立証している。
またローゼンバーグ氏は決算報告の中で、Google Instantのモバイル版が今秋に登場すると語っており、Googleは11月4日(現地時間)、米国内でiPhone 4とGoogle Android 2.2端末向けに同機能の提供を開始した。
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