Microsoft、Google Chrome向けH.264動画再生プラグインをリリース
Googleから「検索データを流用した」と非難されたMicrosoftが、Googleが推進するWebビデオの取り組みに逆行する動きに出た。
米Microsoftは2月2日(現地時間)、米GoogleのWebブラウザ「Google Chrome」のWindows 7版でH.264コーデックの動画を再生するためのプラグインをリリースした。Googleは1月に、Chromeの次期版からH.264のサポートを中止すると発表した。H.264の開発にはMicrosoftや米Appleが関わり、ライセンスはMPEG LAが保有する。
このプラグイン「Windows Media Player HTML5 Extension for Chrome」はWindows 7版Google Chrome 8以降向けで、MicrosoftのInteroperability Bridges and Labs Centerからダウンロードできる。
GoogleはWeb技術における「オープンなイノベーションを実現する」目的で、プロプライエタリでライセンス料を必要とするH.264の代わりにオープンソースのコーデックWebM(VP8)とTheoraの普及を推進しており、H.264のサポート中止はこのプロジェクトの一環だ。プラグインによってChromeで引き続きH.264動画の再生が可能になれば、WebM普及のスピードを遅らせることになるだろう。
Microsoftはこのプラグインをリリースした目的を「Windowsユーザーに最良のWebビデオ体験を提供するため」としている。Microsoftは次期Webブラウザの「Internet Explorer(IE) 9」でH.264とVP8の両方をサポートする(VP8についてはコーデックをインストールする必要がある)予定だ。
Microsoftは、昨年12月にH.264をサポートをしないMozillaのFirefox向けに同様のプラグインを提供しており、同社によるとリリース後約1カ月で数万本がダウンロードされたという。
MicrosoftでIEチームのジェネラルマネジャーを務めるディーン・ハカモビッチ氏は「HTML5 and Web Video: Questions for the Industry from the Community」と題する長文の公式ブログで「GoogleによるH.264サポート中止は開発者がコンシューマーに最良のビデオ体験を提供したいという目標を阻害するものだ」と述べ、現在のビデオコーデックをめぐる混乱について話し合おうとコミュニティーおよび企業に呼び掛けている。
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