だからいつまで経ってもダメ社長なのだ!:中小企業のカリスマ経営者が語る(2/2 ページ)
厳しいビジネス環境の下、中小企業が生き残るためには、社長自らが変わらなければならない。さもなければ、会社はつぶれるだけだという。
社長は先頭で汗をかけ!
良くも悪くも、中小企業は社長や幹部の器量1つがすべてを左右する。小山氏によると、中小企業の業績が低迷する最大の原因は販売不振であり、そうした状況に陥るのは社長がトップ営業しないことにあるという。
「社長が自ら先頭に立って汗をかかないで、一体誰がついていくのか。これができないならいつまで経ってもダメ社長のままだし、会社の業績など上がるわけがない」(小山氏)
加えて、多くの企業が過ちを犯しているのは、業績が悪くなると社員や業務を管理しようとすることだという。小山氏は「いくら管理してもコストがかかるだけで、会社の業績は良くならない。あくまで問題は販売不振にある」と繰り返し強調する。
あなたは会社をつぶしたいのか?
では、どうすれば“ダメ社長”から脱却できるのか。小山氏は「本当に自分が変わりたいという強い意志があるかどうか」だという。
経営セミナーなどで武蔵野に訪れる経営者に「あなたは会社をつぶしたいのか、つぶしたくないのか」と小山氏が問うと、ほぼ全員が「つぶしたくない」と答える。次に「今のままで何もせずに会社が良くなると思うか」と聞くと、一人残らず「良くならない」と答えるそうだ。
しかしながら、多くの経営者は現状認識で終わっており、そこから先に踏み出そうとはしない。なぜならば、新しいことをすると必ず失うものがあり、それを恐れて守りの姿勢になっているからだという。小山氏は「良い社長、良い会社にしたいという願望ではなく、良い社長になるのだ、良い会社にするのだという意志が不可欠なのだ」と語る。
実際に武蔵野では、今でも小山氏がトップ営業をしており、毎日のように現場を駆けずり回っているという。
ITは強みを伸ばす武器
こうしたトップダウンの考え方は、武蔵野のIT化にも大きくかかわっている。同社は以前から積極的にIT導入を推進する企業で知られており、2005年には経済産業省から「IT経営百選最優秀賞」を受賞した。小山氏は「ITは企業の強みを伸ばすための武器であり、強化したい部分には惜しみなく投資すべきだ」と力を込める。例えば、同社は業務にiPadをいち早く取り入れており、営業担当者が顧客に対するプレゼンテーションなどで活用しているという。また、同社の取り組みなどに対するPR活動の一環として、小山氏自らTwitterを使ってメッセージを発信している。
しばしば中小企業では、ITに対する予算が限られている、あるいは予算がほとんどないため、IT導入が進まないという課題が挙げられているが、「お金のあるなしではない。顧客が望んでいるのであれば、銀行にお金を借りてでもIT化に取り組まなければならない」と小山氏は声を張る。
失敗体験は世界一!
小山氏の経営手法が多くの人々から支持されるのは、実体験に基づく、現実的な内容ばかりだからだ。その土台にあるのは「世界で誰にも負けない」(小山氏)ほどの数え切れない失敗体験である。多くの経営コンサルタントが成功事例に基づいて改善を図るのとは反対に、山のような失敗事例を紹介して、自らを反面教師とするように指導するのだという。
「とにかく自分の身体でさまざまなことを体験して、あれこれと考えることが、経営者としての力をつける近道といえよう」(小山氏)
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