GoogleとApple、モバイルAR市場でも激突へ
米GoogleとAppleは既にモバイルコンピューティング戦争の幾つかの戦場で角を突き合わせているが、この戦いには、まだ両社が自らの武器を見せずにいる大きな戦場が1つ残されている。それはモバイルAR(拡張現実)だ。
モバイルARとは、携帯端末のカメラのファインダーをのぞくと現実世界の風景の上に情報がオーバーレイ表示されるというもので、「現実世界のあらゆる物事が情報を持ち、インターネットによってつながれる」というInternet of Things(モノのインターネット)の実現への突破口になるとみられている。
モバイルARでは、例えば、ユーザーが自分の携帯端末のカメラをある建物にかざし、その建物に関連付けられた情報ラベルをクリックすれば、その建物の歴史に関する情報を確認するといったことが可能となる。
ABI ResearchのアナリストでモバイルAR技術の動向を追っているマーク・ベクー氏によると、モバイルARは今のところ、主にLayarやWikitudeなどの新興企業が手がけるニッチな市場だという。両社はAppleのiPhoneやGoogleのAndroidプラットフォーム搭載端末など、各種スマートフォン向けのARブラウザを開発している。
また同氏によると、2010年にはAR関連市場の総売上高はわずか2100万ドルにすぎなかったという。だが同氏は、「この額は2016年には30億ドルに急拡大する可能性もある」と語っている。
同氏によれば、そうした成長に伴い、モバイルマーケティングやモバイル検索、観光ビジネス、小売り、ソーシャルネットワーキングのほか、各種の垂直事業が市場に浸透することになるという。では、その成長をけん引するのはどの企業なのだろう? それはもちろん、GoogleとAppleだ。
GoogleとAppleはこの分野の最大のライバルとして、ともにこの分野をけん引していくことが予想される。なぜなら両社は既にそれぞれ、スマートフォンカメラを利用したコンピュータビジョン技術を持っているからだ。画像情報を自社のコンピューティングクラウドに送信し、さらにそれをユーザーの携帯端末に送り返してアクションを完了するという技術だ。
Googleが提供しているのは、ビジュアル検索アプリケーションの「Google Goggles」だ。このアプリでは、名所となっている橋、書籍の表紙、ワインボトルなど、さまざまな物体の2次元の写真を撮って検索に利用できる。
一方、AppleはPolar Roseを買収している。Polar Roseは、顔認識ソフトウェアなど、「画像の中の視覚的な手がかりをもとにイベントを自動作成すること」が可能な各種の製品を手がけている。
Appleはまだこうした資産を何に活用するつもりかを明らかにしていないが、べクー氏は、同社がこれらの資産をiPhone向けのソーシャルネットワーキング機能に改変するのではないかと考えている。例えば、携帯端末のカメラを人に向けてかざすと、FacebookやTwitterなどのソーシャルアプリでのその人のフィードを見られるといった具合だ。
当然ながら、この取り組みはあらゆるプライバシーの懸念を伴う。そのためべクー氏は、「そうしたサービスは完全にオプトインとして提供する必要があるだろう」と指摘している。つまり、アプリの顔認識機能を有効にすることをiPhoneユーザーが自ら選択しないかぎり、そのユーザーのソーシャルフィードがほかのユーザーのiPhoneカメラから見られることはないようにすべき、ということだ。
これまでGoogleはときには慎重に(Google Buzz)、そしてときには不用意に(Google Street View)、プライバシーの境界線に挑んできたが、興味深いことにGogglesについては、プライバシーの懸念を理由に顔認識を組む込むことを控えている。
「Googleは検索によって突き動かされてる。そして、その検索は目下、新しいタイプの検索によって突き動かされている。それはおそらくモノのインターネットだろう。Googleはまず書籍の表紙やCDのカバーから始めたが、今ではわれわれもあらゆる物事をその対象としてとらえている。実現にはさまざまな要素が必要だが、Googleには非常に高度なアルゴリズムがある」とべクー氏は言う。
例えば、GoogleはGoogle GogglesをGoogle Shopperアプリと統合することも可能だ。
そうなれば、例えば、買い物客は小売店舗で自分の携帯端末のカメラをある衣料品にかざせば、その商品の全サイズの在庫状況だけでなく、色の選択肢、さらにはどの店舗がその商品を割引価格で提供しているかといった情報まで入手できるようになるだろう。
べクー氏がeWEEKに語ったところによると、モバイルAR市場の成長のカギは、各種の端末で動作する広範なアプリにARを組み込むことにあるという。それが実現したときこそが、ABIが示した「5年後には30億ドル」という成長に向けた転換点となるのだろう。
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