節電には「階層型ストレージ」が有効――日本オラクル、データセンターの省電力化支援
日本オラクルが企業コンピューティング環境の省電力化事業を強化。今夏だけではなく、長期的に企業ITの省電力化支援ビジネスに取り組む。
日本オラクルは、企業コンピューティング環境の省電力化支援ビジネスに力を入れる方針だ。特に、約7割が関東地方に集中しているというデータセンターの省電力化が、企業のビジネス継続(BCP)の観点から重要だとして、ストレージの階層化など、自社のハードとソフトを組み合わせて省電力化を提案していく。
同社がデータセンターの省電力化に向けて提案するのは「階層型ストレージ」システムの構築だ。HDD中心のストレージシステムに比べ、階層型ストレージはフラッシュメモリ/HDD/テープを組み合わせるのが特徴。キャッシュはフラッシュによるSSDに、そうではないデータはHDD、バックアップはテープドライブで──とデータによって格納先を階層化。HDDに比べ電力使用量の低いSSDとテープドライブを活用することで、省電力化を図る。
同社の調べによると、フラッシュは1ワット当たりでHDDの2000倍の性能(IOPS:Input Output Per Second)を発揮でき、テープはHDDの100分の1の消費電力で1.8ペタバイトのデータをバックアップできるという。
同社のソフトウェア群「Oracle Enterprise Manager Ops Center」は、通常のデータセンターでは稼働率にかかわらず常に大量消費している電力を、稼働に必要なだけの量に自動調整する機能を備える。導入に時間がかからないため、電力不足が懸念される今夏までに節電効果を発揮できるとしている。
またデータセンターの冷却効率向上ソリューションや、企業内クライアントPCのシンクライアント化なども提案していく。
米Oracleが昨年、米Sun Microsystemsを買収したことで、日本オラクルはアプリケーションやストレージ、管理ソフトやサービスなど、企業コンピューティングを支援する全てを提供できるようになったという。日本オラクルの野々上仁執行役員は「節電対策は今年の夏だけではなく、長期的にやっていく必要があると考えている」と、今後も節電がITトレンドの1つになるとみて、中長期的に取り組んでいく考えだ。
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