ベストセラー絵本「えんとつ町のプペル」無料公開 「高くて買えない」小学生からの声受け
キングコングの西野さんのベストセラー絵本「えんとつ町のプペル」がWebで無料公開。「2000円は高くて買えない」という小学生からの声を受け、無料公開を決めたという。
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんが1月19日、自らが手掛け、23万部を突破した絵本「えんとつ町のプペル」(幻冬社・税別2000円)をWebサイトで全ページ無料公開した。「2000円は高くて買えない」という小学生からの声を受け、無料公開を決めたという。「お金ではなく『恩』を贈り合う時代に向かったほうが面白い」――西野さんはブログでそんな思いをつづっている。
書籍をWebで無料公開する取り組みとしては、過去の人気漫画を広告付きで公開したり、発売前の書籍をプロモーション目的で限定公開する例はこれまでにも多数あったが、ヒット中の絵本の完全無料公開は珍しい。
えんとつ町のプペルは、西野さんが脚本・監督を手掛け、多数のクリエイターとともに作った絵本で、昨年10月に発売。テレビなどで話題になり、23万部を突破するベストセラーになった。
西野さんは19日、「お金の奴隷解放宣言。」と題したブログ記事を公開。この本について小学生から「2000円は高い。自分で買えない」という声があり、「『えんとつ町のプペル』を子供にも届けたいのに、たった「お金」という理由で、受けとりたくても受けとれない子がいる」と気になっていたと打ち明ける。
西野さんは「SNSで誰とでも繋がれるようになり、『国民総お隣さん時代』となりました。ならば、お金など介さずとも、昔の田舎の集落のように、物々交換や信用交換で回るモノがあってもおかしくないんじゃないか。「ありがとう」という《恩》で回る人生があってもいいのではないか」と考え、無料公開を決めたという。
「無料にしてしまうと、食いっぱくれてしまうのではないか?」という不安もあったが、「『10万部売れるコト』よりも、『1億人が知っているコト』の方が遥かに価値がある」と考えたという。
ブログの最後で西野さんは、メッセージをくれた小学生に「もう大丈夫だ、2000円なんて必要ないぞ!」と呼び掛けた上で、「そしてキミが、キミのタイミングで、誰かに恩を贈ればいい」「たぶん、僕らの時代は、そっちに向かった方が面白いと思うよ(*^^*)」とつづっている。
コンテンツをWebで積極的に共有することで、お金中心の世界を超え、感謝や信頼で世界が回る時代に――「初音ミク」を開発したクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長も2012年のインタビューでこんなふうに語っていた。
関連記事
- 「使えば増える」初音ミクと、「お金が王様」の時代の終わり
誰でも自由に使える初音ミクは、旧来の音楽・キャラビジネスと真逆のモデルで成長してきた。クリプトンの伊藤社長は、ミクのような「使えば増える」存在が、次の時代を築くと予見する。 - 漫画「トリコ」の「オートファジー」登場回を無料公開 大隅教授ノーベル賞受賞記念
「オートファジー」の研究で東工大の大隅教授にノーベル賞の授与が決まったことを受け、集英社は5日から、少年ジャンプ連載漫画「トリコ」のオートファジーが登場話3話分を無料公開した。 - “コミケ席巻”の島本和彦さん「シン・ゴジラ」同人誌、小学館が8ページを無料公開
小学館のWebサイト「サンデーうぇぶり」で、島本和彦さんの同人誌「アンノ対ホノオ」の一部が無料公開された。庵野秀明さんとの交流を描いた漫画も閲覧できる。 - 絶版漫画を広告付きで公開「マンガ図書館Z」、月10万円得る作者も 目指すは「全マンガ蒐集」
絶版漫画を広告付きで無料配信する「マンガ図書館Z」では、月10万円を得る作家も出てきているという。新作も含めた「全マンガ蒐集」のプラットフォームを目指す。 - 「海猿」全巻無料配信──アプリ「マンガ読破!」で
スマホ向けマンガアプリ「マンガ読破!」で「海猿」全巻が公開された。 - 「ブラよろ」2次利用フリーで「すごいことになった」 100万人超の読者獲得、「紙のコミックスに匹敵」
「ブラよろ」2次利用フリー化から1カ月。50件以上の2次利用が行われ、100万人超の新規読者を獲得した。有料配信している続編の売り上げも増加。今後も100件以上の案件が公開される見通しだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.