「あまりにかわいそうなので……」 「てるみくらぶ」内定者を選考なしで採用 JALFの思い
倒産した旅行会社「てるみくらぶ」の内定者を無選考で採用するという団体が現れた。
「その身柄、JALFが引き受けます」――倒産した旅行会社「てるみくらぶ」の内定者を選考なしで採用するという団体が現れた。宿泊施設のマーケティング支援などを行っている財団法人・宿泊施設活性化機構(JALF)だ。入社直前に内定を取り消された卒業生が「あまりにかわいそう」と思い、社会貢献の一環として受け入れることにしたという。Facebookのダイレクトメッセージ(DM)で3月31日まで申し込みを受け付ける。
「てるみくらぶ」に限らず、4月の入社を目前にして内定取り消しの憂き目にあった卒業生が対象。無選考でいったん全員に正社員として内定を出し、JALFで働いてもらう。次の就職先が決まるまで一時的に働いてもらうほか、優秀な場合はJALFで永続的に働いてほしいという。採用予算は、会員企業から追加出資をあおぐなどで確保できるという。
「てるみくらぶ」は3月27日に東京地裁から破産開始決定を受けた。2017年4月入社予定の内定者約50人は、内定が取り消されたと伝えられている。JALF事務局長の伊藤泰斗さんは、入社直前に内定が取り消された卒業生が「あまりにかわいそう」と思い、内定者の受け入れを決めたという。
「中には既に地方から東京に引っ越し、家賃が払えなくなると心配している内定者もいると聞き、あまりにかわいそうだ。JALFは公益目的の法人であり、熊本地震の被災者に宿を提供するなどの社会貢献を行ってきた。今回も、困っている方のお役に立てればと考えている」(伊藤さん)
29日午後7時時点でまだ申し込みはないが、問い合わせは多数来ているという。申し込みは数人程度を想定。JALFはスタッフ約10人の小さな組織のためあまり多数は受け入れきれないが、多くの申し込みがあれば、人手不足に悩む会員企業のホテルなどに出向として引き受けてもらうことを検討する。「JALFは業界団体なので、業界企業とのネットワーク力が強み。宿泊業は就職先として不人気で、人手不足に悩んでいる。出向受け入れは可能と考ている」。
29日午後7時
雇用条件などを記事に追記しました。初出時、取材に基づき「1人から申し込みがあった」と記載していましたが、再度取材したところ「まだ申し込みはない」とのことで、記載を修正しました。
関連記事
- てるみくらぶ、破産直前の債務超過額は126億円
破産手続き開始決定を受けた格安海外旅行会社「てるみくらぶ」の資産内容を、東京商工リサーチが明らかに。債務超過額は126億円。関連会社8社の状況も判明した。 - 「広く問題提起」──ドワンゴ「入社試験に受験料」発案の川上会長に聞く、その真意と“就活”観
新卒採用に「受験料」を導入するドワンゴ。社内でも反対が多かったという試みについて、自ら発案したという川上量生会長にその背景や意図、過熱する就職活動をどう見ているかについて聞いた。 - 「GREE退社してきたけど質問ある?」スレ“証拠”の名刺、なりすましだった グリー「大変遺憾」
「GREE退社してきたけど質問ある?」――他人の名刺を悪用し、グリーの“元社員”になりすまして2chに情報を流す事件が起きた。 - ドワンゴ、新卒入社試験の「受験料」制度を継続 「期待通りの結果」 指導受け一部変更
ドワンゴは2016年度新卒入社を対象に受験料制度を実施。昨年の結果は「期待通り」だったという。 - 「年収が指名時と大きく違った」 エンジニアの“競争入札”「転職ドラフト」が謝罪、改善策発表
「指名時の年収と、内定後に提示された年収が大きく違った」と「転職ドラフト」のユーザーが告発した件について、運営元のリブセンスが謝罪と改善策を発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.