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コラム

記者から「上場廃止」「法的整理」を問われた東芝 それって何?(3/3 ページ)

2016年度通期の決算短信の公表を見送った東芝。代わりに発表した決算「見通し」の説明会で、同社の綱川智社長は「上場廃止」「法的整理」の選択肢について記者から問われ、これらを否定した。そもそも「上場廃止」「法的整理」とは何なのだろうか。

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記者が「上場廃止」「法的整理」を質問した意図

 東芝の件に話を戻す。同社は社内カンパニーの分社化(子会社への譲渡)で事業の最適化を行い、分社化済みの東芝メモリの株式売却によって債務超過を解消することで、自力での経営再建を目指している。

 しかし、東芝メモリの売却について、米Western Digital(WD)が「NANDメモリの合弁事業の持ち分を米SanDisk(WDの子会社)の合意なく譲渡するのは契約違反だ」として、国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。一方の東芝は、SanDiskの同意を得ずとも売却できるとしている。

 ともあれ、この仲裁申し立てによって、東芝メモリの売却計画が順調に進まなくなる可能性が高まった。2017年度内に売却を完了できない場合、東芝は債務超過を解消ないことで強制上場廃止となる。

 2016年通期決算に関する会見で、記者が上場廃止や法的整理の可能性を綱川智社長に質問したのは、上場維持にこだわらずに経営再建をする意思はあるのかどうかを確認するためであると思われる。

 自ら進んで上場廃止・法的整理の選択肢を取ることは、ある意味で企業価値を毀損(きそん)することでもある。方法次第では株主・投資家や取引先にも少なからぬな悪影響を与えることにもなる。しかし、強制的に上場廃止になるよりは、企業価値の毀損や、株主・投資家や取引先への影響も最小限に抑えられる可能性もある。

 「真実」はいつも1つかもしれないが、現状がもたらす「可能性」は極力多く検討しておいた方が、万が一の備えになると筆者は考えている。

 上場“意地”から動くかどうか――東芝のこれからは、この1点をどうするかにかかっているのかもしれない。

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