日本の人口は減り始めているのに不動産を買って大丈夫?:渋谷豊の投資の教室
お金持ちの投資の定番「不動産投資」。しかし日本ではついに人口がピークを超え、これから人口減少の時代に突入します。ここ数年上がり続けてきた印象のある不動産ですが、このタイミングで買ってもいいのでしょうか?
「お金の教養」を身につけることを目指した総合マネースクール、ファイナンシャルアカデミーの渋谷豊取締役とともに、日本人の投資観を探っていく本連載「渋谷豊の投資の教室」(第1〜6回はこちら)。第11回は、不動産の買い方について編集部サイトウが聞いてみました。
東京オリンピック後は不動産は値下がりする?
サイトウ: 前回の説明を聞いてよくわかったのですが、不動産投資は、自分の代わりに入居者がローンを返していってくれるというイメージの投資なんですね。すごくいい投資だと思うのですが、どんなところに注意したらいいのでしょう?
渋谷: これからの世の中の流れをつかめていない人は、不動産投資でもうまくいきません。例えば、日本の人口は増えていくか減っているか知っています?
サイトウ: ピークを迎えて減っていますね。
渋谷: では、2050年にどのくらいになっているか知っています? 推定では9700万人です。1億人を切るんです。このように人口が減っていくことはほぼ間違いない。人口は子供が生まれて成長してと長い年月がかかるので、人為的に急激に増やしたりできません。人口増加を目指した政策を行っても、残念ながら即効性がなくて、じわじわとしか人口は変わらないので、統計もブレにくいんです。雇用とは違って。
だから、一番多い質問が、「いま日本は人口減っていますよね。不動産価格は下がるんですか?」で、次に多いのが「オリンピック後下がるんですか?」です。
最初の質問でいうと、日本の人口が減っていることは事実です。東京、埼玉、神奈川、千葉の人口は3700万人くらいです。これらのエリアを「東京圏」として世界の都市圏と比べると、現時点で人口は何位でしょう?
サイトウ: ここで質問に出るということは1番?
渋谷: そうです。世界で一番多いエリアなんです。ニューヨークなどよりも1000万人以上多い。2019年段階では、東京圏、ニューヨーク、メキシコシティの順。2025年には東京圏、デリー、上海です。ただし、東京圏は3700万人から大きく増えているわけではなくて、ほかが徐々に追いついてきていますけど。
地球上で夜、電気を一気につけたとすると、東京エリアが一番煌々としていて、人口が多くて、地域のGDPも世界一です。僕らは東京に普通に住んでいますけど、世界一のエリアにいるという認識を持つべきです。
では不動産をどこに買ったらいいか。やはり人口が減っていくところに買ってはダメなんですよ。不動産価格は需要と供給で決まるから。経済の大きな流れを把握した上で、「日本の不動産は人口が減るからダメだよね」とか「高すぎるからダメだよね」という感覚ではなくて、東京圏の人口は変わらないのであれば、東京圏にいいものを買っていれば、需要は今までどおりあるだろうと考えるのが正解です。
一方で、地方の人口が減るのは事実です。日本の人口が1億3000万人から9700万人に減るということは合計で2000万人以上減るわけですが、そのしわ寄せは地方にいく。だから地方の中核都市以外の不動産は、残念ながら下がる可能性が高い。でも、いくら人口が減るとはいっても地方のニーズは確実にあります。であれば、きちんと価値を保てるいい物件を選べば地方でも何も問題ありません。
つまり、不動産で成功するには、経済を食わず嫌いをせずにちゃんと勉強しなくてはいけませんね。
東京オリンピック後は不動産は値下がりする?
気になる不動産価格の考え方を紹介!
話し手 渋谷豊
ファイナンシャルアカデミー取締役。中上級者向け講座では教壇にも立つ。大学卒業後、邦銀勤務を経て、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA)を修了。その後、米系、仏系銀行のプライベートバンク部門にて、富裕層の資産運用業務に13年間従事。2008年の世界的金融危機を体験し中立的な金融アドバイスの必要性を痛感し、独立系投資顧問会社代表に就任した後、さらに幅広い層に金融経済教育を広めるためファイナンシャルアカデミーに参画。現在は投資信託スクールでの講師のほか、Jリーグの選手への講演等も行う。ファイナンシャルアカデミー
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