「ロボホン」はシャープAIoT戦略の“キーマン”に:体当たりッ!スマート家電事始め(2/2 ページ)
シャープが通信機能を搭載するモバイル型ロボット「RoBoHoN」の新製品を発売した。少し安くできた理由とそこに込められたシャープの戦略、そして新機能の詳細まで紹介していこう。
長谷川氏は発表会の席上、初代機では一般コンシューマー(BtoC)と法人(BtoB)の需要比率が「85%対15%」程度であったことを明らかにした。そして「2019年末までにはセールスボリュームを拡大しつつ、コンシューマーと法人の需要をおよそ半々ぐらいの比率まで持っていきたい」と述べた。シャープでは法人向けにロボホン専用のアプリを開発・販売する事業者を「認定開発パートナー」として集め、支援も行なっている。その件数は2019年2月時点で約80社、サービスは400件に上る。
スマート家電のリモコンにもなる
スマート家電連携も充実した。まずテレビやレコーダー、照明器具をロボホンに話しかけてコントロールできるようになる機能。こちらはリンクジャパンが販売する赤外線信号対応のIoTリモコン「eRemote mini」を買い足すことで使えるようになる。
3月から配信を予定する専用アプリをロボホンに入れ、Wi-Fi経由でeRemote miniに接続。操作したい家電の赤外線リモコン信号を登録する。
ただ、現在は主要なAIアシスタントを搭載するスマートスピーカーでも利用できる珍しくない機能なので、このためにロボホンを購入する人は少ないだろう。連携する機器にも選択肢が欲しいところだ。
シャープの液晶テレビAQUOSについては、ロボホンで撮影した写真や動画をワイヤレス出力できる機能が使える。これはロボホンからプロジェクター機能を削った穴を埋める役割も兼ねている。
スマート家電による連携は、通常モデルと同日に発売される「ロボホン lite HEMS」(SR-05ME-Y)という形にも発展した。本機はHEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)の用途に特化した、ロボホンの派生モデルである。
シャープ「SUNVISTA」(サンビスタ)の住宅用太陽光発電システム、クラウド蓄電池システムなどのHEMS機器といった環境を整えれば、ロボホンに話しかけてECHONET Lite規格による通信プロトコルをサポートするエアコン、給湯器に電動シャッターを動作させたり、先述のIoTリモコン「eRemote mini」につながる家電の操作も行える。本機の導入はシャープエネルギーソリューションが販売するソーラー発電システムソリューションとパッケージ購入ができるほか、すでにシャープのHEMS機器を導入済みの環境に後付けもできる。
HEMS対応ロボホンは、例えばソーラー発電システムの発電量や機器の動作状態、電気代の推移など家庭のエネルギーマネジメントに関連する様々な情報を声と身振り手振りで楽しく教えてくれる。エアコンによる空調管理は運転中に室温が低くなり過ぎると停止を促すなどアドバイザーとしての役割も果たす。ターゲットとなる顧客のレンジは広くはないが面白い試みだと思う。
ロボホンはシャープAIoT戦略のキーマン
ロボホンは第2世代機の発表とともに新しいアプリサービスへの対応、スマート家電のコントロール機能を追加して着実に力を付けた。ロボホンがオールラウンダーになることはユーザーにとってうれしい反面、これからの導入を検討している人にとってはスマートスピーカーでもできる機能が購入の決め手になるとは思えない。やはりロボホンならではのエッジの立った可能性を徹底的に追求した方が、ある程度高価なデバイスを多くの人に“欲しい”と思わせるのではないだろうか。
最後にシャープのAIoTサービスの今後の取り組みについて触れておきたい。同社では作年秋に開催されたCEATEC JAPANで、現在様々なスマート家電ごとに枝分かれしている「COCORO+」(ココロプラス)のサービスを一つのプラットフォームに統合する構想を発表している。時期は今年の春頃を予定しているそうなので、そろそろ準備も大詰めに差し掛かっているのだろう。ロボホンはスマホやスマートテレビと肩をならべて、各家庭のAIoTネットワークの中心で司令塔としての役割を担えるデバイスだ。COCORO+の展開に合わせて、さらにロボホンが新しい能力を身に付けることになるのだろうか。
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