FacebookのザッカーバーグCEO「プライバシー重視のプラットフォームを構築する」
プライバシー問題で批判が高まるFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOが、従来のオープンなプラットフォームではなく、プライバシー重視のプラットフォームを構築すると発表した。エンドツーエンドの暗号化などで、決済や金融取引にも使えるものにするとしている。
米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは3月6日(現地時間)、今後のFacebookはプライバシー重視のプラットフォームにフォーカスすると、「A Privacy-Focused Vision for Social Networking(プライバシー重視のソーシャルネットワーキングビジョン)」と題する3000ワード以上の長文で説明した。
同社は特にこの2年、非ユーザーの個人情報収集やユーザーデータの第三者との共有、通話履歴まで入手しようと画策していたことなどが明るみに出て批判が集まっていた。
ザッカーバーグ氏は「多くの人々が、Facebookがプライバシー重視のプラットフォームを構築できるとは思っていないことは理解している。率直に言って今のところ、プライバシーを守るサービスの構築に関しては評判が良いとは言えないし、われわれはこれまでオープンに共有するツールに注力してきたからだ」と認めた上で、「コミュニケーションの未来はプライベートで暗号化されたサービスに移行していくと確信する」と語った。
具体的なロードマップは示していないが、2019年から多方面の専門家やパートナー企業、政府などと話し合いながら暗号化された新しいプライバシー重視のプラットフォームを構築していくとしている。
この新しいプラットフォームでは、以下の6点を実現するとしている。
- ユーザーがプライバシーを簡単にコントロールできる
- エンドツーエンドの暗号化
- コンテンツを必要以上に長期保存しない
- 暗号化と安全性の両立(テロリストなどによる悪用防止)
- Facebook Messenger、WhatsApp、Instagramでの相互運用性。将来的にはSMSも
- 安全なデータ保存
4つ目の安全性の確保については、「10億人以上の人々がつながりあうためにサービスを使えば、中には児童虐待、テロリズム、恐喝などの悪用も発生するだろう。そうした悪用を阻止するため、暗号化によってコンテンツを見られなくても悪用を検出する技術を開発している」という。
5つ目の相互運用性は、米GoogleがRSC採用の「メッセージ」アプリで実現しているような、SMSを含む相互運用性を目指す。「AppleがiPhoneでのSMSアプリを許さないのでAndroidアプリだけになるが」と一言。また、Facebook Messenger、WhatsApp、Instagramという同社の異なるツール間でメッセージをやり取りできるようにすることで、例えばFacebookアカウントでは電話番号を公開していなくても、電話番号必須のWhatsAppを使えば、マーケットプレイスで初めてやりとりする相手に電話番号を知らせずにメッセージを送れるとザッカーバーグ氏は説明する。
6つ目の保存データの安全性について、「ネットとプライバシーの未来にとって最も重要なことの1つは、ユーザーの機密データを保存するデータセンターをどこに建設することかだ」とザッカーバーグ氏。「プライバシーや表現の自由などの人権侵害の実績がある国にデータセンターを建設しないことを選択した」という。「この方針のせいでいくつかの国々ではサービスを提供できないことになるが、正しい判断だと確信する」と語る。
さらに、今後について、安全でプライベートなプラットフォームを構築できれば、これを決済や金融取引などをはじめとするプライベートなサービスのために活用できると説明した。
「プライベート共有のためのプラットフォームは、われわれが既に構築した人々がよりオープンに共有し接続するのを助けるためのプラットフォームよりも、さらに重要になる可能性がある」という。
関連記事
- Facebook、IT大手への個人データ提供は昨年まで続いていた──New York Times報道
Facebookのユーザーの個人情報の扱い方について、New York Timesが新たな調査結果を発表した。NetflixやAmazonなどの大手企業とユーザーの個人情報を共有していたとしている。 - Facebook、ユーザーに無断で通話履歴入手画策など英議会の公開文書で明るみに
Facebookの過去の社内メールなどの膨大な文書を英国議会が公開した。Facebookはこの資料を「偏ったものだ」と抗議しているが、競合しそうなVineへのAPIを遮断しろというザッカーバーグCEOのメールやAndroidアプリのアップデートで権限追加のダイアログを表示させない方法についてのやり取りなどが含まれている。 - Facebook「ユーザーへの啓蒙続ける」 プライバシー保護の取り組み、2万人体制に
Facebookが、個人情報保護の取り組みに関する説明会を開催。相次ぐ不正アクセスや情報流出のニュースを受け、一層取り組みを強化する考えだ。 - Facebookのバグで1400万人が意図せず投稿を「全員に公開」 被害者に通知
プライバシー問題で批判が高まるFacebookが、5月に実施したプライバシー設定のテスト中のバグで1400万人の投稿を「公開」設定にしてしまったとし、対象ユーザーに通知を送り、設定を修正した。 - Facebook傘下のWhatsApp創業者が退社へ 個人情報保護で対立との報道
Facebookが2014年に買収したWhatsAppの共同創業者、ジャン・コウムCEOが退社すると自身のFacebookで発表した。ユーザー情報を広告に利用するかどうかなどでFacebookと対立していたとWashington Postが報じた。 - Facebook、非ユーザーの情報も収集していることについて「GoogleやTwitterもやっている」
Facebookが、ザッカーバーグCEOが出席した公聴会で質問が集中したFacebook以外のアプリやWebサイトでのユーザー情報収集について説明し、同じことをGoogle、Twitter、Amazonもやっていると強調した。 - Facebook、ユーザー情報管理の改善策を数週間中に実施へ
ユーザー情報の不正流用問題の渦中にあるFacebookが、ユーザーが自分の情報がどう使われているのかを把握しやすくするための対策を発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.