AWSプリンシパルエンジニアのティム・ブレイ氏、Amazonの従業員対応に抗議の辞職
XMLの第一人者として知られるAWSのプリンシパルエンジニア、ティム・ブレイ氏が、Amazonが新型コロナ対策を求めるストライキのリーダーを解雇したことに失望したとして辞職した。
米Amazon.com傘下のAWSで約6年間プリンシパルエンジニアを務めた著名エンジニアのティム・ブレイ氏が5月4日(現地時間)、退社したと自身のブログで発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を恐れている物流倉庫で働く従業員を代表して抗議した従業員をAmazonが解雇したことに失望したからとしている。
ブレイ氏は昨年、従業員有志が立ち上げたAmazonの温暖化対策強化を求める署名運動でも意見書に署名した。この意見書は株主総会で検討されたが、却下された。
新型コロナを恐れる従業員のストライキのリーダー解雇について、Amazon側は「ポリシー違反」を理由としているが、ブレイ氏は「Amazonの経営陣はこの問題にいくらでも善処する時間があったにもかかわらず、そうせずに活動家を解雇した」と語る。
同氏はAmazonの副社長という立場で社内でさまざまな議論を持ち、改善する努力をしたが、改善につなげられなかったので、「副社長であり続けることは、自分が軽蔑した行為を認めることになるので辞任した」という。AWSは職場として素晴らしいし、高度に倫理的な組織だと評価している。
Amazonは1日の業績発表の際、4〜6月期に見込む営業利益40億ドル以上を、新型コロナ対策に費やし、サービスの維持と従業員の安全確保に充てると説明した。
ブレイ氏はXMLの第一人者として知られる。2010年2月までSun Microsystemsに在籍したが、OracleによるSunの買収のタイミングでGoogle入りし、2014年2月にGoogleで「在宅勤務を認めてもらえないから」とGoogleを退社した。AWSには同年12月に入社した。
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