Red Hatが「コンテナと仮想マシンの一体化」に本格進出 VMwareのアプローチとの違いは?(3/4 ページ)
米Red Hatが今春から、コンテナと仮想マシンを一体化する事業領域に進出。4月のイベントで「どこにいてもイノベーションを起こせるようにする」をテーマに、コンテナ基盤「Red Hat OpenShift」の最新バージョンなどを発表した。同社の幹部は、競合するVMwareと比較した上での優位性を強調するが、両社のアプローチにはどんな違いがあるのか。
VMwareはvSphere 7にKubernetesベースのコンテナ実行環境を搭載
では、競合のVMwareは、コンテナと仮想マシンを一体化する領域においてどんなツールを展開しているのか。
同社が2019年に開いたイベント「VMworld 2019」で発表した「Project Pacific」は、Kubernetesを「VMware vSphere」と統合したもので、Linux OSなどの上ではなく、VMwareのハイパーバイザーである「ESXi」の上で直接Kubernetesが動くようにするものだ。ユーザー企業はこれを使うことで、仮想マシンと一緒にKubernetesのコンテナ環境を管理・運用できる。
2020年3月に発表した最新版「VMware vSphere 7」では、Project Pacificの機能を「vSphere with Kubernetes」として搭載し、vSphereをKubernetesベースのコンテナ実行環境として利用できるようにした。具体的には、vSphere 7のESXiの上で「Tanzu Kubernetes Grid」(クラウド環境などにKubernertesを導入することで、Kubernetes環境を実現できるソフトウェア群)を動かすことが可能だ。
「真にハイブリッドクラウド、マルチクラウドに対応する」Red Hat幹部は自信
VMwareのこうした戦略について、Red Hatのフェルナンデス氏は「(VMwareのコンテナ統合は)vSphere 7のAPIと密接に連携するもので、vSphereに特化したものになる」と分析。「対して当社のOpenShift Virtualizationは、(自社製品だけでなく)真にハイブリッドクラウド、マルチクラウドに対応するものであり、オンプレミスでもエッジでも、さまざまなパブリッククラウド環境でも利用できる。ベアメタルサーバの上でも動けばvSphereの上でも動かせる」と主張する。
確かに、動かせるインフラ環境の多様性では、OpenShift Virtualizationに軍配が上がるかもしれない。さらにコンテナ、Kubernetesの5年にわたる経験も、Red Hatの優位性となるだろう。とはいえ、VMwareにはグローバルで、膨大な仮想マシンのインストールベースがある。VMware環境に慣れ親しんでいるインフラ管理者の数は、OpenShiftの管理者よりもかなり多いだろう。
もともとVMwareの仮想マシンを数多く運用しているユーザーならば、VMware上でコンテナ環境を統合できるほうが、技術的な理解もアプローチもしやすい。またVMwareの仮想マシン環境は、主要なクラウドベンダーによるマネージドサービスで既に展開されており、インフラの選択肢が狭いわけではない。
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