英国もコロナ追跡アプリでAppleとGoogleのAPI採用に方向転換「Appleがシステムを変更しないので」
ドイツ政府に続き、英国政府も新型コロナ接触通知アプリの方針を変え、AppleとGoogleが共同開発したAPIを採用すると発表した。位置情報を収集する独自アプリはAppleがシステムを変更しない限りiPhoneでは機能しないため。
英国政府は6月18日(現地時間)、これまで独自開発してきた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の接触通知アプリで方針を変え、米Appleと米Googleが共同開発した「濃厚接触通知API」を採用すると発表した。マット・ハンコック保健相は記者会見で「Appleがシステムを変更しようとしないので、われわれのアプリは利用できない」と語った。
英政府の下、国民保健サービス(NHS)はユーザーの位置情報を収集する中央集中型の接触通知アプリを開発してきた。過去1カ月テストしたところ、iPhone版はうまく機能しなかったという。
ハンコック氏は「AppleのソフトウェアはApple独自技術を採用している場合を除き、iPhoneでの連絡先追跡を阻止する」と語った。Appleが第三者による連絡先追跡を阻止するのは、ユーザーのプライバシーを重視しているためだ。
2社が協同開発したAPIは、ユーザーのプライバシーが侵害されないよう、政府にも個人データを収集されないよう工夫されている。
ドイツ政府もこの問題で途中からAppeとGoogleのAPI採用に路線を変更している。ドイツは16日に「コロナ警告」アプリを公開した。このアプリは公開後24時間で650万件ダウンロードされている。
英国のアプリ公開は今秋になる見込みだ。
日本では2社のAPI採用のアプリを厚労省が19日中にも公開する予定だ。
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