インタビュー
SIを封印して“なるべく作らない” NECの「政府向けクラウド」独自戦略(3/3 ページ)
NECが7月から、日本政府向けのクラウド事業に本格参入している。だがこの領域には、外資系大手のAWSや、国産ベンダー数社が既に参入している。競争が激化する市場でどのように戦っていくのか、NECの担当者に聞いた。
SIの方が稼げそうだが……
他の国産ベンダーの政府向けクラウド事業の戦略を見ると、どの企業のサービス内容もほぼ同じ印象を受ける。例えばAWSやAzureと連携するマルチクラウド環境を構築したり、立ち入り監査を視野に入れたセキュアな自社クラウドを提供したりといった具合だ。
そんな中での他社とNECの最大の違いは、これまでも述べてきた通り「なるべくゼロから作らずに、既存のサービスをうまく組み合わせる」方針をとっていることだ。
競合他社の多くは、政府からのITシステムへの要求にきめ細かく対応し、ゼロからシステムを作り上げるSIサービスを提供しているが、NECは仕組みを一から作るのではなく、ServiceNowなどの既存サービスを使って開発のスピードを速めるアプローチをとっている。
SIで細かな対処をした方がビジネス的には売り上げを立てやすそうだが、NECはサービス連携などによってスピーディーなシステム構築を実現し、クラウド本来のメリットを提供することに意義を見いだしているのだろう。
NECでは25年度までに、政府のクラウド上で100種類のシステムを動かす目標を掲げている。“なるべく作らない”アプローチを政府が評価し、SIよりも売り上げを拡大できるかは、NECがこの手法でどれだけの価値を創出できるかにかかっている。
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