日本を含む7カ国、エンドツーエンド暗号化コンテンツへの公的接続を可能にするよう要請する国際声明
いわゆるファイブアイズと日本、インドが、IT企業に向けた共同声明を発表した。犯罪捜査のため、エンドツーエンド暗号化(E2EE)コンテンツに法執行機関がアクセスできるようにという要請だ。
英政府は10月11日(現地時間)、IT企業に対し、エンドツーエンドで暗号化(E2EE)されたコンテンツに法執行機関がアクセスできるようにするよう要請する国際声明を発表した。声明に署名したのは、ファイブアイズと呼ばれる英、米、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国と、インド、日本。
英政府は「テロや児童の性的搾取、虐待などの深刻な犯罪を捜査する場合、E2EEは公共の安全に深刻な影響を及ぼす。ユーザーのプライバシーとセキュリティを損なうことなく、市民の安全を確保するための解決策を見出すために政府と協力するようIT企業に呼び掛ける」としている。
米国では2016年、米Appleが米連邦捜査局(FBI)からの犯人所有のiPhoneのロック解除を拒否したことをきっかけに、国家安全と個人のプライバシーをめぐる議論が高まった。米上院議員は昨年12月、AppleやE2EEのメッセージングアプリ「WhatsApp」を提供するFacebookを召喚した公聴会で、法執行機関向けバックドア(裏口)を作らないなら、E2EEを法律で規制すると警告した。
声明文では、E2EEの弊害として、IT企業自身がユーザーによるポリシー違反を検出できないことは、プラットフォーム上での児童の性的搾取や虐待、暴力犯罪、テロリストによるプロパガンダ、攻撃計画などの違法なコンテンツへの対応ができないことと、法執行機関による重大犯罪の捜査を不可能にすることを挙げた。
声明文の「結論」には「プライバシーやセキュリティを損なわずに公共の安全を保護することはできないという主張に異議を唱える」とある。
Facebookはメディアに対し、「Facebookは長期にわたり、人々のプライベートな情報を守るためにエンドツーエンド暗号化が必要であると主張してきました。これらのすべての国々において、人々は様々なアプリ上でエンドツーエンド暗号化されたメッセージ機能を好みます。なぜなら、そうすることでメッセージをハッカーや犯罪者、海外からの介入から守ることができるためです。Facebook社は、高いセキュリティを保ちつつ、悪質な行為を防ぎ、検知し、対応するための新たな方法の開発において業界を牽引しており、今後も注力してまいります」という声明文を送った。
本稿執筆現在、Apple、Googleなど、Facebook以外で対象とみられるIT企業からの公式声明は発表されていない。
【更新履歴:2020年10月12日午後2時50分 Facebookの公式コメントを追加しました。】
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