目指すは“メイドの働き方改革” 「バーチャルメイドカフェ」開発の背景とは(1/2 ページ)
2020年11月にオープンした「バーチャルあっとほぉーむカフェ」。開発の背景にはメイドの働き方や、客層の拡大といった目的があるという。サービス立ち上げの狙いを開発元に聞いた。
「長く続けていると、妊娠や出産をきっかけに現場で働けなくなるメイドが出てきます。サービスを立ち上げた背景には、メイドの働き方やキャリアを支える考えがありました」──メイドカフェ「あっとほぉ〜むカフェ」を運営するインフィニアの深沢孝樹さん(取締役)は、同社が運営する「バーチャルあっとほぉーむカフェ」についてこう話す。
バーチャルあっとほぉーむカフェは2020年11月にオープンした、バーチャル空間上のメイドカフェだ。メイドとユーザーは互いにアバター(3Dモデル)を使い、仮想空間上で会話やゲームを行う。VRヘッドセットなどは使わず、操作やコミュニケーションはスマートフォンやタブレット、PCの画面を通して行う。
利用するには専用サイトにアクセスし、好きなメイドを選択。サービスを受ける時間の長さを選択すると、メイドのアバターがいるルームに入室できる。ルーム内ではメイドとのボイスチャットや、アプリ上のボタンを使ったじゃんけんなど簡単なゲームを楽しめる。
価格は30分1100円(税込、以下同)から。支払いはクレジットカードかWebMoneyで受け付ける。1つのルームには最大3人までのユーザーが同席できる。1対1でない理由は、いかがわしさをなくし、価格を抑えるためという。
営業時間は平日が午後7時〜午前2時、土日祝が正午〜午前2時。メイドはゲーム好きな「恋戌(こいぬ)くろえ」さんや吸血鬼の「月影リリア」さん、魔法少女の「氷川ねむり」さんなど40人が在籍している。
深沢さんによれば、1月時点では月に250人ほどのユニークユーザーがいたという。男女比は半々で、全体の半分があっとほぉ〜むカフェのファンだった。中にはコロナ禍で外出ができず、子育て中の母親が話し相手を求めて利用するケースもあったという。
メイドとのやりとりをオンラインで楽しめるバーチャルあっとほぉーむカフェ。サービス開始の背景には、コロナ禍であっとほぉ〜むカフェの利用客が減ったことがあるという。しかし深沢さんには、それ以外にもいくつかの狙いがあった。
1.メイドの働き方改革
1つ目は、従業員であるメイドの働き方改革だ。あっとほぉ〜むカフェは秋葉原に2店舗、大阪の日本橋に1店舗を展開しているが、どの店舗でも基本的にアルバイトとしてメイドを雇っている。そのため出産や就職、引っ越しなどのライフイベントを機に、地理的な制約や本業との兼ね合いといった事情で仕事を続けられなくなってしまうメイドも出てくる。
しかし深沢さんによれば、あっとほぉ〜むカフェにはメイド喫茶の仕事が好きな人が多く、長く働きたいという人が多いという。例えばインフィニアの執行役員であるhitomiさんは、結婚や出産を経験しながらも15年近くメイドカフェで働いており“レジェンドメイド”と呼ばれている。
他の従業員からも「就職してもWワークで続けたい」などの声があり、すでに辞めてしまったメイドに期間限定で復帰してもらうイベントを開催した際は、多くの元メイドが集まるという。
そこで、バーチャルあっとほぉーむカフェではメイドの雇用形態を業務委託にすることで、本職のある人でも副業として働きやすくしている。メイド側も自宅で働けるため、地方に住んでいても勤務を続けられるという。
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