Facebook、一旦棚上げした透明性レポートを批判受け公開 最も見られたリンクは「医師がワクチン接種後死亡」の記事
Facebookは8月18日に「広く見られているコンテンツ」レポートを定期的に公開すると発表。第一弾として第2四半期のレポートを公開した。その後、メディアが同社にとって不都合な第1四半期のレポートもあると指摘したため、そちらも後から公開した。
米Facebookは8月21日(現地時間)、2021年第1四半期に米国で最も見られた投稿に関するレポート(リンク先はDropbox上のPDF)を公開した。
同社は18日、同様のレポートの第2四半期分のみを公開したが、米New York Timesが20日、独自に入手した第1四半期のレポートでは、最も見られた投稿は健康な医師がコロナワクチン接種の2週間後に亡くなったという米Chicago Tribuneの記事へのリンクだったと報じ、批判が高まった後、第1四半期のレポートも公開した。
New York Timesは、入手したFacebook社内のメールなどに基づいて、同社は当初、第1四半期のレポートも公開しようとしていたが、アレックス・シュルツCMO(最高マーケティング責任者)などの幹部が「広報上の問題を引き起こすかどうかを議論」し、公開しないことに決めたと報じた。
Facebookに対しては、プラットフォーム上の偽情報が米国民を分断し、新型コロナワクチン接種を躊躇させているとして批判が高まっている。ジョー・バイデン米大統領は7月、FacebookのようなSNS上の偽情報が人々を殺していると発言した。
18日に公開した第2四半期のレポートでは、最も見られたリンクはNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の1チームのファンサイトになっている。別の、最も見られた投稿のリストにあるのは、ほとんどがクイズものや冗談だ。
なお、いずれのレポートにも広告の表示回数は含まれていない。
Facebookのポリシーコミュニケーションディレクターを務めるアンディ・ストーン氏は連投ツイートで、当初第1四半期のレポートを公開しないことにしたのは、「システムに重要な修正があったから」と説明した(何をどう修正したのかについては不明)。
また、Chicago Tribuneの記事は「偽情報の定義がいかに難しいかを示す例だ」ともツイートした。記事自体は事実を報じたものだからだ。ただし、記事の初出では「医師の死因がワクチンと関係があるかどうかはCDCが調査中」となっており、記事が拡散された後、「関係は確認できなかった」と更新された。
Facebookの説明によると、このレポートの制作には同社は2016年に買収したソーシャル解析企業CrowdTangleの解析ツールは使っていない。CrowdTangleは一般に公開されており、New York Timesのケビン・ルーズ氏は毎週このツールを使って解析した「Facebookの米国版で最もパフォーマンスが高かったリンク」のランキングをツイートしている。こちらのランキングではベン・シャピロ氏やダン・ボンジーノ氏のような右派の人々の投稿が上位を占めている。
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