日米企業のDX動向を372ページで比較、IPAが「DX白書2021」を無償公開
IPAは、日米企業のDX動向を比較調査し、戦略や人材、技術などを包括的に解説した「DX白書2021」を発刊した。計372ページのPDFをIPAのWebサイトで無償公開している。
IPA(情報処理推進機構)は10月11日、日米企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)動向を比較調査し、戦略や人材、技術などを包括的に解説した「DX白書2021」を発刊した。計372ページのPDFをIPAのWebサイトでダウンロードできる。ITとビジネスの関係が密接になっているため、同白書を通じて日本企業のDX推進を支援したい考え。
白書では、日米企業にDXに関する戦略や人材、技術についてのアンケート調査を実施。その結果、DX戦略への取り組み状況は、日本企業は「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取組んでいる」の割合が計45.3%であるのに対し、米国企業は計71.6%で、25ポイント以上の差が開いた。
事業戦略上の変革を担う人材の「量」について調べたところ、日本企業では、「大幅に不足している」と「やや不足している」が計76%、米国企業は計43.1%で、戦略面以上に大きく差が開く結果になった。
AI技術の活用状況については、「導入している」日本企業は20.5%、米国企業は44.2%と倍以上違うことが明らかに。一方で、IPAが2020年に発刊した「AI白書2020」内の調査では、「導入している」日本企業は4.2%であったため、1年で約5倍増加してることが分かった。
同白書では、アンケート調査以外にも、ユーザー企業へのインタビュー調査による事例紹介なども掲載している他、デジタル戦略立案のポイントやデジタル時代の人材に必要なスキル、ITシステム開発手法や開発技術、デザイン思考などの技術面の概要なども説明しているという。
アンケート調査は、日本企業534社と米国企業369社に実施。経済産業省「情報処理実態調査」で調査対象範囲の26業種の経営層またはICT関連事業部門の責任者や担当者、米国企業は責任を持って回答できるマネジャークラス以上の担当者も加え、調査した。
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