Facebook、次世代AI「Ego4D」開発用一人称視点動画を世界で2200時間分収集
Facebookは次世代AI研究プロジェクト「Ego4D」を発表した。世界9カ国の855人が撮影した一人称視点の動画データセットを使い、「人間と同じ様に一人称視点で世界を理解し、世界と関わるAI」を開発する。
米Facebookは10月14日(現地時間)、次世代AI研究プロジェクト「Ego4D」を発表した。「人間と同じ様に一人称視点で世界を理解し、世界と関わるAI」を目指す。
AIに一人称視点の世界を学習させるため、9カ国(米、英、伊、印、日、シンガポール、サウジアラビア)の13の大学と研究所の855人の参加者に、日常生活の一人称視点の動画を録画させた。日本からは東京大学が参加している。動画は2200時間以上あるという。
動画撮影には、GoProやVuzixなどの既存の端末を使った。同社は9月、動画も撮影できるスマートグラス「Ray-Ban Stories」を発表しているが、こちらで録画できる動画は最長30秒だ。
収集した動画データは、スマートグラスやOculusのヘッドセットを介してユーザーをサポートするAIの学習のために使われる。また、同社はこのデータセットを公開する計画という。
Facebookは、このデータセットを使って開発するAIアシスタントの5つのベンチマーク課題も発表した。
- エピソード記憶:「時計をどこにしまったか?」などを提示する
- 予測:料理中に既に塩を投入しているのにまた使おうとすると警告する
- 操作手順:ドラムの演奏方法の指導
- 視聴覚記録:誰がいつ何を言ったかを記録し、提示する
- 社会的交流のサポート:騒がしい環境での会話のサポート
これらのベンチマークについては記事末に転載した動画でも例を紹介しており、かなり便利そうだ。
Facebookはこれまでプライバシーの扱いで度々批判されてきた。Ego4Dはまだ研究プロジェクトの段階だが、これを例えばRay-Ban Storiesなどで利用できるようする場合、どのようにプライバシーを保護するのかという具体的な計画は、公開されている論文には掲載されていない(収集済みのデータについてのプライバシー対策については記述がある)。
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