Meta(旧Facebook)、クリエイター向け“Apple税”回避ツール提供開始
Meta(旧Facebook)は、Facebookページのクリエイター向けに「サブスクリプション」の購読料徴収で“Apple税”を回避するツールの提供を開始した。「Appleの30%手数料はクリエイターの収益化を困難にしてる」とザッカーバーグCEO。
米Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグCEOは11月3日(現地時間)、「Facebookページ」のクリエイターが米Appleのいわゆる“Apple税”を回避する方法の提供を開始すると発表した。「メタバース構築に当たり、われわれはクリエイターに収益化の機会を解き放つことにフォーカスしている。Appleによる30%の手数料はそれを難しくしている」と同氏は語った。
新機能は、同社が2018年からクリエイター向けに提供している「クリエイタースタジオ」の1機能「サブスクリプション」(旧「ファンサブスクリプション」、日本ではまだ使えない)向け。「サブスクリプション」は、Facebookページの有料会員から毎月購読料を得る機能。2023年まではFacebookは手数料を徴収しないが、購読者がiOS版Facebookアプリ経由で購読料を支払う場合はApple税がかかる。
Apple税回避策として、同日からユーザーを「Facebook Pay」での支払いWebサイトに誘導できるようにする。ユーザーがこのWebサイト経由で購読料を支払えば、Apple税を回避し、購読料の100%がクリエイターのものになる。方法は、クリエイタースタジオで生成するプロモーションリンクをユーザーにメールやテキストメッセージで送る(アプリにボタンを表示するわけではない)。
同社はまた、2021年末までクリエイターが新規加入者を獲得するたびに5ドル〜20ドルのボーナスを支払うことも発表した。同社は7月、クリエイターに10億ドル投資すると発表しており、このボーナスはその一環だ。
Metaは昨年、コロナ禍でリアルなイベントを開催できなくなったFacebookページオーナーのために、オンラインイベントを「ライブ動画」で有料で開催する機能を公式アプリに追加し、そのころからApple税を批判し続けている。直近の業績発表では、(Apple税とは別だが)売上高が予想を下回ったのはAppleのATTの影響だとAppleを名指しで非難した。
Appleは米開発者との集団訴訟の和解条件として、開発者が、App Store以外での支払いオプションについてアプリユーザーと直接やり取りできるようにするよう命じられたので、今回のクリエイター向け新機能はApp Storeのガイドラインに沿っているとみられる。
Appleは本稿執筆現在、この件について特にコメントしていない。
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