QRコードを徐々に消していく“闇のゲーム” 実際どこまで消しても読めるのか:明日から使えるITトリビア(2/2 ページ)
Twitterで「QRコードを徐々に消していき、リーダーで読み取れなくなったら負けになる闇のゲーム」が話題になった。QRコードには「誤り訂正機能」という、汚れや破損に対応する強さがあった。
誤り訂正=汚れへの耐久力
QRコードには汚れや破損があっても内容を訂正する「誤り訂正」機能がある。読み取るべきデータを示す符号に加えて、CDにも使われるデータ訂正用の「リード・ソロモン符号」を組み込むことで、コードが汚れてもデータを訂正できるようにしている。
QRコードの場合、訂正能力ごとにレベルが分かれる。訂正能力7%がレベルL、15%がレベルM、25%がレベルQ、30%がレベルHとなる。大きな欠損があっても訂正できるようにするには、それに応じた量のリード・ソロモン符号が必要になるため、訂正能力を上げれば上げるほどQRコードも大きくなる。
冒頭で提示したQRコードは、前者が訂正レベルLで25×25ピクセル、後者が訂正レベルHで33×33ピクセルだ。
誤り訂正でできることできないこと
誤り訂正はQRコードの一部が隠れていても訂正してくれる機能だ。では隠す以外の加工にはどの程度対応できるのか。試してみた。
手始めに“ぼかし”をかけてみた。以下の画像の程度であれば問題なく読み取れる。QRコードを隠したい場合は少なくともこれ以上ぼかさないといけない。
明度を下げてみても何も問題なかった。人間の目で判別できるかできないかのレベルまで暗くすれば読み取れなくなるが、夜間でもちょっと光があれば十分読み取れる。これはカメラのISO感度次第でも結果が変わる。
次はQRコードをJPEG画像にして劣化させてみた。左図の劣化具合なら読み取れるが、右図くらいになると不可能。左図の状態でもかなり汚れている(品質レベル5)ので、劣化にも強いことが分かるだろう。
最後に“ゆがみ”だ。QRコードは360度どの方向からでも読み取れるよう、多少斜めになっている・たゆんでいる程度であれば十分認識できる。一方、さまざまな方向にゆがませるとさすがに認識できない。コピー用紙に印刷して多少曲がる分には問題ないが、薄いフィルムや布地ではゆがんだときに精度が落ちやすいと考えられる。
今回話題になった闇のゲームで分かるのは、QRコードの“強さ”といえる。今では情報量の少ない小さなQRコードでも、最大で50%までであれば欠損があっても読み取れるような技術もある。そんな強さがあるからこそ、決済システムや交通システムに採用されるまでに成長しているといえそうだ。
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