神奈川県の緊急速報メール、「第1報以降は必要に応じて手動で」 誤配信受け再発防止策
トンガ沖の海底火山噴火に伴う津波注意報の緊急速報メールが神奈川県内のスマートフォンに繰り返し届いた件を受け、県は「緊急速報メール配信プログラムの配信状況を確認する仕組みを作る」「メール配信方法を手動にする」などの再発防止策を講じると発表した。
トンガ沖の海底火山噴火に伴う緊急速報メールが神奈川県内のスマートフォンに繰り返し届いた件を受け、県は1月31日に再発防止策を発表した。メール配信状況を確認するための仕組み作りや、第1報以降のメール配信について手動化などの見直しを講じるという。
神奈川県は2011年の東日本大震災の経験から、気象庁からの緊急速報メールとは別に、県独自で津波情報を自動配信していた。このプログラムに設定ミスがあり、1月16日には、津波情報を伝える同じ内容の緊急速報メールを1エリアにつき最大20回配信。のべ765万人に影響を及ぼし、住民から「複数回の配信はいらない」など753件の苦情が届いたとしている。
当時、神奈川県には津波警報が発表されていなかったため、本来メールの配信は不要だった。設定ミスにより配信の判定基準が狂い、他県への津波注意報にも反応してしまったのが誤配信の原因という。
設定ミスに気付いたのは委託先の東日本電信電話神奈川事業部。同社は16日午前4時20分に、プログラムの設定にミスがある可能性を確認。午前6時30分ごろにミスの原因を特定し修正を開始。午前8時ごろには修正と配信テストを完了した。
県が設定ミスの可能性を確認したのは午前8時50分ごろ。午前9時4分ごろに修正プログラムを適用した。
設定ミスが放置されていた理由には、プログラムのテスト時に試験パターンが不足していたことや、プログラムの稼働状況を県職員が確認しなかったことなどが挙げられるとしている。
主な再発防止策は、以下の4つ。
(1)緊急速報メールシステムの構築・改修時には、県職員立ち会いの下、稼働状況を事前確認する。
(2)緊急速報メールの配信時に、配信状況を委託業者に自動通知する仕組みを導入する。
(3)夜間や休日の県と委託業者間における連絡体制を強化する。
(4)緊急性の高い情報を必要最小限のみ配信するため、気象庁が配信する大津波警報・津波警報に合わせた第1報以外、緊急速報メールの自動配信を行わない。気象庁の第1報を超える高さの津波予想が発表された場合は手動でメール配信する。
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