Meta(旧Facebook)、増収減益 1〜3月期売上高を3〜11%増と予測
Meta(旧Facebook)の2021年10〜12月期決算は、増収減益で純利益はアナリスト予想を下回った。主力の広告事業の伸びが鈍化しており、1〜3月期の売上高見通しを3〜11%増とした。iOSの変更やTikTokなどとの競争、「リール」へのシフトによるレートの悪化などを理由に挙げた。
米Meta(旧Facebook)が2月2日(現地時間)に発表した2021年第4四半期(10〜12月)の決算は、売上高は前年同期比20%増の336億7100万ドル、純利益は8.3%減の102億8500万ドル(1株当たり3ドル67セント)だった。主力の広告事業の売上高は20%増だが、伸び率は鈍化している。
売上高はアナリスト予測の334億ドルを上回ったが、1株当たり純利益は予測の3ドル84セントを下回った。マーク・ザッカーバーグCEOは業績発表後の電話会見で、米AppleのiOSの変更やTikTokなどの競合との広告シェアの奪い合いなどの問題が影響していると語った。長期的にはTikTok対抗の「Instagram Reels」(リール)へのシフトや広告のパーソナライズのためのAIの強化などで復調できるとしている。
だが、2022年第1四半期もこの影響は続くとし、売上高見通しを3〜11%増の270億〜290億ドルと予想した。同社は2019年にTikTokに対抗するリールを立ち上げ、昨年6月からリールにも広告を表示している。リールのレートはニュースフィードやストーリーよりも低いため、ザッカーバーグ氏は「長期的な利益を得るためにはリールへのシフトは効果的だが、短期的には広告の売り上げに圧力がかかるだろう」と語った。
純利益減は、AIなどメタバース関連への投資増の影響だ。同社は1月、AIスーパーコンピュータ「RSC」の開発を発表している。
FacebookのMAU(月間アクティブユーザー数)は4%増の29億1200万人。DAU(日間アクティブユーザー数)は5%増の19億2900万人だった。DAUが前四半期(19億3000万人)より減少するのはこれが初めてだ。
今回は社名をMetaに変更してから初の四半期業績発表になる。同四半期から、売上高と営業利益(損失)の報告は、「Family of Apps」セグメント(Facebook、Instagram、Messenger、WharsAppその他のサービス)とメタバースを担う「Reality Labs」(RL)セグメントとに分けて行うようになった。
RLの営業損失は33億400万ドル。同社全体のR&Dコストは前年同期比35%増の70億4600万ドルだった。
ザッカーバーグ氏はメタバース関連の今後の予定として、年内にハイエンドのVRヘッドセットを発売し、「Horizon」のモバイルアプリをリリースすると語った。
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