オリオンビールがオフィス移転で直面した「サーバ置けない問題」 それでも数カ月でクラウド化できたワケ(3/3 ページ)
オフィス移転によってサーバ室が使えなくなる危機に陥ったオリオンビール。社内システムの移行先にはAWSを選んだが、作業時間は残り数カ月。タイムリミットが迫る中、それでも同社がクラウド化できた理由とは。
「5年に1回、数千万」のコストを削減
AWSへ移行した各種システムは、22年1月時点までトラブルもなく安定稼働しているという。ユーザーから見るとシステムの仕様は変わっていないことから「エンドユーザーにとってのシステムの使い勝手はまったく変わっていない。恐らくクラウドへ移行したことすら気付いていないのではないか」と新里さん。
一方、システムを運用管理するIT部門ではクラウド移行の成果が出たという。かつては毎日朝一番に必ずサーバルームの状況をチェックし、ひとたびハードウェアに問題が発生すれば場合によっては対応に数日間を要していたが、そうした作業が一切不要になったという。
ITコストの削減効果もあった。「5年に一度のシステム刷新にかかっていた数千万円のコストが不要になった」と新里さん。ハウジングサービスを利用した場合と比較すると、1カ月当たりのサービス利用コストも10万円ほど安く抑えられているという。
今後は残りのシステムもクラウド化?
オリオンビールは今後、OSの都合で移行できなかった販売管理や財務会計といったシステムもクラウド化し、将来は全システムをクラウドで運用する方針だ。さらに、AWS上にデータ分析基盤を新たに構築する構想も持ち上がっているという。
「現在、販売店からPOSデータをCSVやテキストデータで提供してもらっており、それらをBIツールで集計・分析してマーケティングや営業の戦略策定に生かしている。こうしたデータ活用の取り組みをより本格化するために、AWSのデータウェアハウスサービス『Amazon Redshift』にデータを集約し、より高度な分析が可能なデータ分析基盤を構築したい」(溝口部長)
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