転びにくい電動キックボード、ホンダの社内起業制度から誕生 停止中は自立
ホンダの社内起業制度を使って独立したストリーモ社が「バランスアシストシステム」を搭載した3輪の電動キックボード「STRIEMO」を発表した。「人が持つ自然な反応」を生かして“バランス取り”を支援するという。
本田技研工業(以下、ホンダ)の社内起業制度を使って独立したストリーモ(東京都府中市)は「バランスアシストシステム」を搭載した3輪の電動キックボード「STRIEMO」(ストリーモ)を発表した。価格は26万円で年内に出荷を始める。13日から先行抽選販売の受付を自社Webサイトで始めた。
バランスアシストシステムは「人が持つ自然な反応」を生かして“バランス取り”を支援するというもの。詳細は明らかにしていないが、ハンドルや前輪を含む車体の前部と、人が乗る後部を回転できる軸でつなぎ、前部だけ左右に揺動(揺れ動く)する構造とした。モーターによるアシストなどはないという。
例えば道を曲がろうとハンドルを傾けても後部は安定した状態を保ち「バランス取りの不安を軽減できる」。石畳のようなゴツゴツした場所や傾斜した場所でもユーザーの体勢は崩れず転びにくいという。停止時には車体が自立するため横に足を出す必要がない。
最高時速は25km/hで、フル充電時の走行距離は約30km。車体重量は約30kgで折りたたみも可能だ。
他社の電動キックボードと同様、現行法規では原動機付き自転車の扱いになる。ただしストリーモ社は道交法改正後の「特定小型原動機付自転車」を視野にアップデートパッケージの販売を計画中。バランスを取りやすいストリーモなら周囲へ配慮する余裕を生み出せるとしている。
ストリーモの森庸太朗代表は「既存のマイクロモビリティー(電動キックボード)は操縦性や安定性に課題があると感じていました。そこで、ホンダでのレース開発やバランス制御技術の開発経験で培った“人研究”のノウハウを生かし、大前提である安心・安全を提供できる新しいモビリティを自宅のガレージで創り始めました。ストリーモが世界中で人々の生活の中に当たり前にあるノリモノの1つになり、人々が自由な移動を楽しめる豊かな世界を作っていきます」としている。
ストリーモはホンダの社内起業制度「IGNITION」を活用して21年8月に設立した。資本金は1億円。ただしホンダによると子会社ではないという。「IGNITIONは事業を成長させるためにベンチャーキャピタルからの投資を呼び込むのが基本方針。そのためホンダからの出資は20%以下に止めている」。
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