100秒1000円で脳波を買い取り、入場無料のイベント開催 主催企業の目的は?
アート企業のコネルが、来場者の脳波データを100秒当たり1000円で買い取るイベントを開催する。会場に専用の機材を設置。その場で100秒間脳波を計測するという。同社の目的は。
テクノロジーを活用したアート作品を制作するコネル(東京都中央区)は6月22日、来場者の脳波データを100秒当たり1000円で買い取るイベントを開催すると発表した。会場に専用の機材を設置。その場で100秒間脳波を計測する。集めた脳波のデータは、同社の技術で絵画に変換。その場で販売するという。入場は無料。
イベントは東京都千代田区のアートギャラリー「アーツ千代田3331」で7月30日から8月7日にかけて開催。支払いの合計が100万円に達した場合、買い取りは終了する。データを買い取るとき、提供者のイニシャル、日時、位置情報は保存するが、それ以外の情報は集めないとしている。
コネルが今回のイベントを開催する目的は2つある。一つは脳波データを収益化できる環境の整備だ。同社は過去にも脳波を活用したアート作品などを作っていることから、社内に蓄積したデータのマネタイズ手段を模索しているという。
そこでコネルは、脳波データの適正な収益化を目指す組織を発足。投資や協賛を受け付けている。イベントには組織の認知拡大を図るパフォーマンスの側面もあるわけだ。協賛する個人や組織には、投資額と同価格分の脳波データを提供するという。同社は今後、脳波を絵画以外の形に変換し、発表・販売することも検討している。
もう一つは情報社会への問題提起だ。コネルの事業では、基本的にテクノロジーを活用したアート作品を作っている。例えば過去には気象データと3Dプリンタを活用し、過去の天候をイメージしたお菓子を作る「サイバー和菓子」や、脳波を基に音楽を作る仕組み「NO-ON」などを開発・試作した。
各作品には問いかけが存在し、サイバー和菓子は「データを使った新しい季節の感じ方」、NO-ONは「言葉で表現しきれない感情」がテーマという。今回のイベントでは、脳波の買い取りを実演することで「目には見えないさまざまなデータが無意識に取引される現代で、情報の価値について考え、新たな取引の形を模索する」(コネル)としている。
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