Microsoft、Xboxモバイルゲームストア構想を開示
Microsoftは英競争規制当局に提出した文書の中で、Xboxモバイルゲームストア構想を開示した。Activision Blizzard買収の目的の1つは、AppleやGoogleのアプリストアに対抗するストア構築であると説明。Steam DeckやLogitechの端末サポートにも言及した。
米MicrosoftがXboxゲームストアを拡張し、モバイルゲームストア機能を追加する計画を、英政府競争規制当局の競争・市場庁(CMA)に提出した文書で明らかにした。CMAが10月18日(現地時間)にこの文書を公開した。
この文書は、Microsoftが1月に発表した米ゲーム大手Activision Blizzard買収に関するCMAによる調査のために提出されたものだ。Activision Blizzard買収の目的や、この取引が市場での健全な競争を阻害しないことなどを説明している。
この文書でMicrosoftは、モバイルデバイスに直接ゲームを提供するXboxのモバイルゲームストアを構築しており、Activision Blizzard買収で、この計画を推進できるとしている。「消費者を(既存のモバイルアプリストアである)Google PlayストアやAppleのApp StoreからMicrosoftのストアに向かわせるには、消費者の行動を大きく変える必要がある。Microsoftは(Activision Blizzardが開発した)有名で人気のあるコンテンツを(新しいゲームストアで)提供することで、ゲーマーが新たな挑戦に臨むことを期待している」(文書より)
モバイルデバイスというのはスマートフォンだけを指すのではなく、米Valveの「Steam Deck」やスイスLogitech International(日本ではロジクール)の「Logitech G CLOUD Gaming Handheld」、米Razerの「Razer Edge」などのクラウドゲーミング用デバイスも想定している。
CMAの調査では主に、この取引のゲームコンソール市場におけるソニーとの競争への影響に重点が置かれているが、Microsoftは文書で、同社がまだシェアを獲得していないモバイルゲームへの参入のための買収だと強調した。
文書に掲載されている以下のグラフでは、2020年のゲーム市場全体で、コンソールが占めるのは20%であり、PCは24%、モバイルが51%だとしている。
Microsoftは2月、この取引の発表に合わせ、AppleとGoogleのアプリストアポリシーの問題点を指摘し、開発者が独自のアプリストアを運営し、アプリ内購入のための独自の支払いシステムを提供できるようにするアプリストアに関する新たな原則を発表している。MicrosoftはXboxのモバイルゲームストアにもこの原則が適用されるとしている。
CMAは今後さらに情報収集や関係者との会談などで調査を進め、2023年1月には暫定的な調査結果を発表する計画だ。最終的な報告期限は2023年3月1日となっている。
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