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「イラストやデザインの仕事は退屈」──Stable Diffusion開発元の代表インタビュー記事が話題

「イラストやデザインの仕事は退屈」──画像生成AI「Stable Diffusion」の開発元でAIスタートアップ企業である英Stability AIのエマド・モスタークCEOのインタビュー記事がTwitter上で話題になっている。

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 「イラストやデザインの仕事は退屈」──英BBCが9月13日に掲載した、画像生成AI「Stable Diffusion」の開発元でAIスタートアップ企業である英Stability AIのエマド・モスタークCEOのインタビュー記事がTwitter上で話題だ。日本でもイラスト発注サイト「Skeb」創業者のツイートが拡散し、さまざまな意見が飛び交っている。


英BBCの記事がTwitter上で話題に

 話題の記事は「"Art is dead Dude" - the rise of the AI artists stirs debate」(“アートは死んだも当然”AIアーティストの急増が議論を起こす)というタイトルで、画像生成AIが与える影響について言及したもの。記事の中には、BBCの記者がエマドCEOにインタビューした内容が掲載されている。

 BBCのインタビューで、エマドCEOは「Stable Diffusionは“生成型検索エンジン”と考えている」と説明。Googleの画像検索が現実に存在する写真を表示するのに対し、Stable Diffusionは想像できるものなら何でも表示すると表現している。

 「米国のSFテレビドラマ『スタートレック』に登場する架空のシミュレーター『ホロデッキ』の現代版のようなものだ」(エマドCEO)

 また、Stable Diffusionによってアーティストが失業する心配はないとも話している。このAIはMicrosoftの表計算ソフト「Excel」のようなツールであるとし、「(Excelの影響で)会計士が失業することはなかったし、私は今でも会計士に給料を払っている」とエマドCEOは指摘している。

 この上で、イラストやデザインの仕事を志す若手アーティストへのメッセージとして「イラストやデザインの仕事は、とても退屈な仕事だ。芸術的であるかどうかではなく、あなたは道具なのだ」とし「画像生成AIは今後大きく発展していく。お金を稼ぎたいなら、新しい技術からチャンスを見つける方がずっと楽しくなるはずだ」(エマドCEO)と説明している。


エマドCEOの発言部分

 記事掲載後、同じくこの記事で取材を受けていた米国のイラストレーターRJ Palmer(@arvalis)さんは、エマドCEOのインタビュー内容を引用し「アーティストを理解していない」と非難する言葉をツイート。これに対し「AIアートが存在できるのは人間の作業があったからではないか」や「エマドCEOの論理では、Excelや電卓があるから数学を学ぶ必要はないということになる」など、RJ Palmerさんに賛同する声が多く見られた。

 またRJ Palmerさんは10月21日、Stability AIが開発した音楽生成AIについて言及し「この音楽生成AIでは、著作権のある音楽でAI学習はしないと説明している。彼らはミュージシャンには倫理的な礼儀を尽くすが、画家には尽くさない。なぜなら画家は法的に恐れる必要がないからだ」と非難している。

日本ではSkeb創業者などが反応 「もう少しクリエイターに敬意を払うべきでは」

 BBCからの記事掲載の約1カ月後である10月24日、Skebを運営するスケブ(東京都港区)創業者のなるがみさん(@nalgami)がTwitter上でこの記事について言及。「もう少しクリエイターに敬意を払うべきだと思うけどなぁ」との感想を述べた。

 なるがみさんは「Stable Diffusionの価値の源泉はクリエイター一人一人が創作した作品群にもかかわらず、クリエイターへのリスペクトが皆無なのは悲しい」とし「AIもクリエイターもツールという考え方でクリエイターという職を消滅させるんじゃなくて、AIがクリエイターの創作活動を加速させるツールとして広がるといいな」とコメントしている。

 このツイートを見た他のユーザーからは「『君達は道具だよ』ってスゲー言葉だな…」「なんかかなしいね」「反感は湧きますが、事実かも」「なぜmimicは一度停止したのに海外製AIは止まらなかったのか、その答えの一つがこれでは」などの意見が見られた。

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