USBメモリ紛失の尼崎市、無断で再委託のBIPROGYに損害賠償請求 「市のイメージダウンにつながった」
6月に発生した尼崎市全市民46万人分の個人情報入りUSBメモリの紛失を巡って、尼崎市はBIPROGY(ビプロジー、旧社名元日本ユニシス)に対し損害賠償請求を行うと発表した。尼崎市のイメージダウンにつながったことなどが理由。
6月に発生した尼崎市全市民46万人分の個人情報入りUSBメモリの紛失を巡って、尼崎市は11月28日、BIPROGY(ビプロジー、旧社名日本ユニシス)に対し損害賠償請求を行うと発表した。尼崎市のイメージダウンにつながったことなどを理由としている。
尼崎市が設立した調査委員会は28日、調査報告書を発表。ビプロジーは市の承諾を得ずに委託業務先の再委託、再々委託を行っていたという。USBメモリの持ち出し時には、鍵付き金属ケースで運搬するよう定めていたが、ビプロジーは規定通りの対応をせず、管理が不適切だったとしている。
尼崎市ではビプロジーに対し、すでに18カ月間の入札参加停止措置を実施している。現在契約中の案件についても、準備が整い次第別の事業者へと切り替える方針だ。一連の対応に加え、紛失報道の直後から市への問い合わせや苦情が殺到し、通常業務に支障が出たことや、イメージダウンによって本来不要な経費などが発生したことを理由に、ビプロジーに対して損害賠償を求めるという。
安全管理が十分でなかったとして、市の情報セキュリティ責任者にも処分を行う。市の最高情報セキュリティ責任者である副市長の給与を1カ月分減額する他、一部幹部についても戒告処分とする。
調査に当たってはビプロジー関係社員にヒアリングし、USBメモリや関係するPC、サーバなどを調査したが、個人情報の漏えいは確認できなかったという。
関連記事
- 個人情報保護委員会、尼崎USBメモリ紛失受け注意喚起 委託、再委託も視野に解説
個人情報保護委員会が、兵庫県尼崎市で発生した個人情報入りUSBメモリの紛失事件を受け、個人情報の適切な取り扱いについて改めて注意喚起した。自ら情報を管理する場合に加え、委託先や再委託先などでの情報の取り扱いについても言及している。 - 尼崎事件に見る情報漏えい対策の“いろはのい” 増えている流出ルートは?
尼崎市のUSBメモリ紛失事件で、情報漏えいに再度注目が集まっている今、改めて情報漏えいが起きるルートをおさらいしておこう。情報漏えいには、電子機器の紛失、うっかりミス、退職者によるもの、不正アクセスなどさまざまなルートがある。 - USBメモリ紛失の尼崎市、調査委員会を設立 再発防止策を審議
兵庫県尼崎市が、全市民46万人分の個人情報を保存したUSBメモリを紛失した件を巡り、調査委員会を設置した。事案の原因や対処の検証、今後の再額防止策を審議するという。 - 尼崎USBメモリ、紛失したのは「協力会社の委託先社員」 ビプロジーが訂正
BIPROGYは、尼崎市の全市民4の個人情報が入ったUSBメモリを紛失した人物について、「協力会社社員ではなく、協力会社の委託先社員」だと訂正した。 - 尼崎市、全市民46万人分の個人情報入りUSB紛失 委託先関係社員が飲食店でなくしたか
臨時特別給付金の支給事務にあたっていた委託先関係社員が、全市民46万人分の個人情報が入ったUSBメモリを紛失したとして兵庫県尼崎市が謝罪した。USBメモリにはパスワードと暗号化をかけており、情報の漏えいは確認されていないとしている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.