「LINE PayがPayPayに吸収される」は誤解 LINE Payはどこへ向かう?(2/2 ページ)
LINEとZホールディングス(ZHD)の経営統合によって、広く伝わったのは「LINE PayとPayPayが統合する」という話だ。これはLINE PayがPayPayに吸収されて一本化するというイメージを持つ。しかし、これは実態とは異なる誤解だとLINE Payは言う。
LINE Payは単体で何を目指す?
「LINE PayとPayPay統合」のイメージが強いものの、実際は両社の金融各サービスは併存を目指している。では、4200万人(22年8月時点)が利用する国内でも有数のコードサービスであるLINE Payは何を目指すのか。
「LINEユーザーに、あくまで便利に使ってもらうことを追求していく」と佐野氏は話す。具体的には、LINEアプリを起点とした決済や送金のプラットフォームだという。このたび発表した新クレジットカード「LINEクレカ ポイントプラス」も、LINE Payのこの位置付けを強化するアイテムだ。
一方で、事業の広がりとして見た場合、PayPayとの加盟店統合はLINE Payの方向性を定めたともいえるかもしれない。PayPayは、ビジネスモデルを建物に例え、1階が加盟店からの決済手数料、2階が加盟店へのマーケティング施策の提供、3階が金融サービスだとしている。PayPayの加盟店が利用可能になり、LINE Pay独自の加盟店開拓を行っていない今、LINE Payは2階部分の事業は断念したといってもいい。
これはスーパーアプリを目指すPayPayに対して、LINE Payの立ち位置が異なることにもつながる。キャンペーンやクーポンを連発し、アプリを何度も開かせ、ユーザーとの接触機会の増加を目指すPayPayに対し、LINE Payは黒子のインフラとなることを目指す。
「我々が提供していかなくてはいけないのは、LINE Payを自然にスムーズに使ってもらうこと。支払っているときにサービスが前面に出るのではなく、後ろで支える存在になるべきだ」(佐野氏)
LINE Payの事業としては、自治体や金融機関などに本人確認機能を提供するKYC事業も含まれる。一見地味だが、社会のインフラとして必要なものに力を入れるあたりに、LINE Payが目指す道のヒントがありそうだ。
関連記事
- 国税がスマホの“Pay払い”可能に クレカと異なり手数料無料
国税庁は10月24日までに、国税をスマートフォンのコード決済などで支払えるサイトの概要を公開した。12月1日から利用可能。「PayPay」「d払い」「au PAY」「LINE Pay」「メルペイ」「Amazon Pay」の6種類が利用できる。 - LINE Pay、PayPay加盟店の一部でも利用可能に 決済情報はLINE側のサーバに保存
PayPayとLINE Payが、モバイル決済サービス「LINE Pay」を、8月17日から「PayPay」加盟店の一部でも使えるようにすると発表した。加盟店のうち、客のスマートフォンでレジのQRコードを読み取る方式の店舗が対象。 - PayPay、LINE Payの国内事業を吸収へ 海外はLINE Payに統一
ヤフーの親会社Zホールディングスは3月1日、スマートフォン決済「PayPay」に「LINE Pay」を統合させる方針を示した。2つのサービスが統合されれば、国内で最大手となる見通し。 - LINEで住民票請求から手数料支払いまで――マイナンバーカードを使った公的個人認証、LINE Payが対応へ
LINE Payが公的個人認証サービス(JPKI)に対応。例えば、住民票が必要な際、自治体のLINE公式アカウントで質問に答えて必要事項を送信した後、JPKIを通じて本人確認し、手数料をLINE Payで支払って郵送で受け取る――といった使い方を想定。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.