AI契約レビューの未来はどうなる? 業界トップ、LegalOn Technologies社長が目指すもの(1/4 ページ)
AI契約レビューSaaSを提供するLegalOn Technologiesの角田望社長に、同社創業の経緯からAI契約レビューの未来まで、考えを聞いた。
これまで紙でのやり取りが中心だった法務業務にもデジタル化の波が押し寄せている。そして、業務プロセスをSaaSなどで効率化するだけでなく、AIを使って契約書のレビューをサポートするなど、質的な変化も起こり始めた。
一方で、弁護士法にかかわる議論も残るなど、AI契約書レビューにはまだ課題も残っている。AI契約書レビューSaaSの今後はどうなるのか。2022年6月に137億円を調達し、米国展開を進めるLegalOn Technologiesの角田望社長に、AI契約レビューの未来について考えを聞いた
社長は弁護士、法律の道に進んだきっかけは
角田氏はAI契約レビューについてどう考えているのか。それを探るために、角田氏とLegalOn Technologiesの来歴を整理しよう。
角田氏は2010年に京都大学を卒業。同年、旧司法試験に合格した弁護士だ。同氏が法律の道に進もうと考えたきっかけは、何だったのか。
「高校の文理選択のときに、面白い仕事をしたい、飽きない仕事をしたいと考えて弁護士を志した。ただし、当時は具体的な弁護士のイメージはなく、『白い巨塔』とか『検視官』シリーズなど小説を読んでのイメージくらいだった」
その後、京都大学法学部に進み、法理論などを学ぶ。憲法学、民法の解釈、学説など法理論は非常に面白かったというが、研究者の道に関心はなく、とにかく早く弁護士になりたかった。
「早く弁護士になって実務に出たかった。司法試験も、実務に出るための手段だと位置付けていたので、最短時間でパスすることしか考えていなかった」
大学卒業後、同年に司法試験をパスしたが、このときでも実際の弁護士業務について詳しく理解していたわけではない。「司法試験が終わったら、自動的に弁護士になり、自然とお客さんが来るものだと思っていた。就職するという意識はなかった」と角田氏は笑う。
そんな中、友人から司法試験に合格しても就職活動しなくてならないと聞いて、そこから「弁護士になるためにどんな法律事務所がいいか」を考えた結果、四大法律事務所の一つである森・濱田松本法律事務所に13年に入所した。
当初は苦労も多かった。小説やドラマで扱われる弁護士の業務とは違い、企業法務には裁判はほとんどない。試験でも出てこないし研修でも学ばない内容がほとんどだった。
「とにかくやり方が分からなかった。『大量保有報告書を書いてくれ』と言われ、それはなんだろうか? から始まる。そもそもその制度自体が何なのか分からない。文献を買ってきて読み、実務で経験のある人をつかまえて聞くことを繰り返しながら、企業法務の実務に対応していきました」
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