AI契約レビューの未来はどうなる? 業界トップ、LegalOn Technologies社長が目指すもの(2/4 ページ)
AI契約レビューSaaSを提供するLegalOn Technologiesの角田望社長に、同社創業の経緯からAI契約レビューの未来まで、考えを聞いた。
森・濱田松本法律事務所を辞めて、AIへチャレンジ
法律事務所で働き始めて3年経った頃、世間ではAIがブームとなりつつあった。ディープラーニング技術も成熟し始め、Google傘下のDeepMindが開発した「AlphaGo」が世界トップクラスの棋士に勝利したのがちょうど16年だ。
この頃、角田氏はリーガルテックでのチャレンジを意識し始める。「世間ではAIブームだったが、法務の世界では、そういうことを聞かなかった。AIを法務に応用すれば、大きな価値を生み出せると思った」
森・濱田松本法律事務所は「各弁護士が個人として強みを持つ」というポリシーを掲げ、伝統的に独立志向が高い。角田氏も、どこで自分の強みを発揮するかを模索していた。
「自立した個人であることを要求する事務所だ。みんなどうやって生きていくかを考えていた。弁護士として専門性を極める、社内で高い評価を得てプレゼンスを高める、留学して語学や海外での業務知見を身につける……。何らか自分で考えなくてはいけない」
そんな中、事務所を辞めて独立、AIを活用したリーガルテックへのチャレンジを決断する。17年、共同創業者の小笠原匡隆弁護士とともに、法律事務所ZeLoとLegalForce(現LegalOn Technologies)を創業した。
「不安もあった。しかし自分たちのリソースには何があって、現在の貯金を使ってどこまでいけるか、計画を立てるとだんだん状況が見えてくる。このまま行くと、10カ月で破産する。顧客を数十社獲得しないと、つぶれてしまう。状況が明確になると、不安というよりもやるしかないという気持ちが芽生えました。あとは行動するのみ、と」
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