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AI契約レビューの未来はどうなる? 業界トップ、LegalOn Technologies社長が目指すもの(3/4 ページ)
AI契約レビューSaaSを提供するLegalOn Technologiesの角田望社長に、同社創業の経緯からAI契約レビューの未来まで、考えを聞いた。
契約書エディタからAIレビューにピボット
現在のAI契約書レビューサービス「LegalForce」は最初から現在の形だったわけではない。
17年10月に開発に着手したときのプロダクトは、契約書作成に特化したエディタツールだった。「Googleドキュメントの契約書特化版のイメージだ。そこにAI契約書レビュー機能も搭載しようと思っていた。しかし、なかなか現在契約業務で使われているエディタ以上の価値を提供することが難しく、まずはAIレビュー機能の開発にフォーカスした」
開発当初は2カ月で完成すると見込んでいた。しかしさまざまな軌道修正が絶えず入る。いったん18年5月に完成したものの「これはちょっと厳しい」と当初のプロダクトを白紙にした。再びゼロから作り直すという苦しみを経て、やっと完成したのは18年10月のことだった。
多種多様な法務業務の中で、契約書にフォーカスしたプロダクトを目指したのは法律事務所ZeLoでの課題があったからだ。
「法務部門がない会社の顧問弁護士として、さまざまな契約書をチェックしていた。限られた時間の中で契約審査の品質を保ちつつ、効率的に業務を行うのは、とにかく大変だった。自分だけでなく、契約審査に関わる弁護士や法務の多くがこの課題を持っていると痛感した。これがプロダクトの原型となるコンセプトになっている」
それまでは、テクノロジーを法務領域に応用する方法を模索していたが、AI契約書レビューで行こうと決めたのは、この体験が大きかった。
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