米司法省、Googleのネット広告技術独占は違法だと提訴
米司法省(DoJ)は8州の司法長官とともにGoogleを独禁法違反で提訴した。「Google Ads」などのネット広告ツールを独占することで、健全な競争を妨害したと主張。裁判所にこれらのツールの売却と反競争的慣行への関与停止命令を求めた。
米司法省(DoJ)は1月24日(現地時間)、8つの州の司法長官とともに、米Googleを独禁法違反で提訴したと発表した。複数のデジタル広告技術製品を独占するのは違法だとしている。
訴状には「パブリッシャー、広告主、ブローカーがデジタル広告を促進するために使う幅広いツール(「Google広告」「Googleマーケティングプラットフォーム」「Googleアドマネージャー」などを指す)を独占することで、広告業界の健全な競争を妨害した」とある。
Googleがネット広告技術を独占し、その支配を悪用した結果、広告主はネット上の広告枠に対してより多くの費用を払うことになり、パブリッシャーが得るべき収益をGoogleが奪ったとしている。
DoJらはこの訴訟で、バージニア州東部地区連邦地裁に対し、一連の広告技術製品の売却と、反競争的慣行への関与停止をGoogleに命じるよう求めた。
Googleは同日公式ブログで、この訴訟は「競争の激しい広告技術分野で、パブリッシャー、広告主、ユーザーを犠牲にして歴史を書き換えようとしている」と抗議している。
「歴史を書き換える」というのは、Googleによる15年前のDoubleClick買収や12年前のAdMeld買収に対する当局の承認を覆すことになることを指す。
「一旦承認したというのに、15年にわたって育み、賢明に取り組んできた投資を破棄するよう強制すべきではな」いと主張し、「全米のパブリッシャー、広告主、ユーザーのために機能しているツールを壊そうとする試みに対し、積極的に異議を唱える」としている。
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