EU、Googleの広告事業に関する独禁法調査開始
EUの欧州委員会が、Googleを独禁法違反の疑いで正式調査すると発表した。Googleが自ら運営する広告サプライチェーンで自身の広告を優先的に扱うことで、競合する広告主とパブリッシャーに損害を与えた可能性を調査する。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(The European Commission)は6月22日(現地時間)、米Alphabet傘下のGoogleが広告事業で独占禁止法に違反した疑いで正式な調査を開始したと発表した。
Googleが自ら運営する広告サプライチェーンで自身の広告を優先的に扱うことで、競合する広告主とパブリッシャーに損害を与えた可能性を調査する。
特に、Googleが競合に対し、Webサイトやアプリでの広告目的でユーザーデータにアクセスすることを制限することで競争を歪めているかどうかを調査するとしている。具体的には、Googleが2019年に提案したChromeブラウザでサードパーティ製cookieを「プライバシーサンドボックス」に置き換える計画を指す。
この他、YouTubeでのDisplay&Video 360またはGoogle広告の義務付けやAndroid端末での広告識別子の利用終了計画など、調査対象は広範に渡る。
欧州委員会の競争政策担当コミッショナー、マルグレッタ・ヴェスタヤー氏は「オンライン広告は、Googleとパブリッシャーにとって中心的な収益化方法だ。GoogleがいわゆるAd Tech Stack(ワンストップの統合広告サービス)で競合するオンライン広告サービスの競争を難しくしていることを懸念している」と語った。
EUは、2017年にショッピングでの違反で24億ユーロ、2018年にAndroidでの権力乱用で43億ユーロ、2019年に検索広告での権力乱用で15億ユーロと、過去5年に既に3回、Googleに独禁法違反で罰金を科している。
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