楽天証券、投信積立が足踏み ポイント還元変更の影響は? SBIの手数料無料化にどう対応する?
ハイペースで拡大を続けてきた楽天証券の投信積立が曲がり角に来ている。22年10〜12月の投信積立設定件数は、前四半期から減少、投信積立設定金額も減少となった
ハイペースで拡大を続けてきた楽天証券の投信積立が曲がり角に来ている。2022年12月期の決算説明資料によると、22年10〜12月の投信積立設定件数は、前四半期から減少となった。投信積立設定金額も減少となっている。
投信設定積立件数は639万件となり、前年同期比では21.8%伸びたが前四半期を下回った。投信積立設定金額も、1003億3000万円と同31.7%の増加となったが前四半期からはマイナスだ。
楽天証券の楠雄治社長は「(増加の)モーメントは鈍化している。ポイント還元変更の影響は、まったくないとは言わないが、市場要因が大きいと見ている」と原因について話した。
楽天証券は22年9月から、これまで積立額の1%を還元していたクレジットカードによる投信積立を変更。人気の投資信託を含むほとんどで、還元率を0.2%に減らした(関連記事)。一方、株式市場は2022年に入ってから不調が続き、米S&P500株価指数は19.6%、日経平均は5.49%下落した。
SBIが進める手数料無料化への対応は?
また手数料戦略についてもコメントした。ネット証券最大手のSBIホールディングス(HD)は、傘下の証券会社で、23年9月までに株式売買手数料をゼロにすることを発表している。これに対し、「手数料については決めていない。ゼロにするのはすぐできるし、維持することもできる」(楠社長)とし、状況を見ながら判断する構えだ。
SBI HDは、株式売買手数料の無料化によってユーザーを引きつけ、盤石の体制を狙う。そのため収益源の分散化を進めており、22年9月末時点で収益全体に占める売買手数料の比率は24%まで低下してきている。
他のネット証券は、まだ売買手数料への依存が大きい状態だ。楽天証券も売買手数料収入比率は減少しているものの、22年1〜12月で株式とデリバティブの合計で32.1%となっている。うち、オンライン取引による国内株式の売買手数料は17.3%となっており、手数料を完全無料化すると、この収益が失われることになる。
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