楽天モバイル単体で4928億円の赤字 「2023年は勝負の年」と話す三木谷氏の“劇的なコスト削減”策とは?(2/3 ページ)
3期連続の大赤字の中、楽天モバイル事業を軌道に乗せるための道は茨の道だ。「2023年は勝負の年」と話す三木谷氏の戦略を探ってみよう。
月間150億、年間1800億円コスト削減の秘策
コスト削減は、複数の策を組み合わせる。1つは前倒しで行ってきた基地局建設が一巡する点だ。4G対応の基地局は、すでに5万2000局が稼働しており23年は8000局程度の追加にとどめる。これにより人口カバー率を、現在の98%から99%超にもっていく。基地局開設が減ることで携わっていた人件費や外注費が減少する見込みだ。
カバー率の増加は、別の面でもコスト削減につながる。開業当初から、KDDIとローミング契約を結び、自社エリア外ではローミングで対応してきたが、これが大きなコスト負担となってきた。現在もトラフィックの4.2〜4.3%がKDDI回線だというが「これを極限まで減らしていく」(三木谷氏)考えだ。
さらにリアル店舗も整理を進める。日本郵政との資本業務提携に伴い、全国280の郵便局内に楽天モバイルの店舗を設けたが、こちらも200店舗を4月までに閉店する。そのほかの店舗についても「採算性を見ながら是々非々で考えていく。すでに70%くらいがオンラインサインアップであり、今後はオンラインを重視していく」(三木谷氏)という。コストのかかるリアル店舗には見切りをつけ、オンライン専用プランに近い位置付けにシフトしていく(即時開通も実現するという)。
テレビCMについても取りやめを進め、マーケティング手法も転換する。「マーケティングをマスマーケティングからリファラルに変え、コスト効率を上げていく」と三木谷氏。現在、楽天グループの各サイトには、ほぼすべてに楽天モバイルへのリンクが設置されている。ここから1日に130万人が、楽天モバイルのサイトに流入しているのだという。
マーケティング面ではリファラルも活用する。これは、紹介した人に楽天ポイントを3000ポイント、紹介された人に7000ポイントを付与するというもの。明日、2月15日からスタートするという(詳細記事)。三木谷氏は、楽天モバイルの認知だけでなく、特徴を口コミで広げることに期待している。
こうした施策により、月間150億円のコストを削減するという方針だ。ただしこれがすべて思惑通りに進んでも、年間で1800億円。5000億円あまりの赤字をカバーするにはまだ3200億円足りない。黒字に向けては、3687億円の年間売上高を、ほぼ倍増させる必要があるわけだ。
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