インボイス商戦の武器をそろえたfreee ARRは176億円に(1/2 ページ)
10月に迫るインボイス制度の施行に向けて、freeeが着々とインボイス商戦で勝ち抜くための武器を揃えてきている。2月14日に発表した、2023年6月期の第2四半期決算によると、ARRは対前年比36.8%増の176億円に達した。
10月に迫るインボイス制度の施行に向けて、freeeが着々とインボイス商戦で勝ち抜くための武器を揃えてきている。2月14日に発表した、2023年6月期の第2四半期決算によると、ARRは対前年比36.8%増の176億円に達した。
成長の追い風の一つとなっているのがインボイス制度だ。CEOの佐々木大輔氏は「第2四半期の半ばから需要が見えてきた」と話す。
freeeは22年12月に、インボイス制度に対応した請求書を作成できるサービス「freee請求書」の提供を開始(関連記事)。さらに1月には、受け取った請求書をAI-OCRでデータ化するsweeep社を買収するなど(関連記事)、インボイス関連のパーツを揃えてきた。
業績への貢献が始まっているのが、MIDと呼ばれる中堅企業顧客だ。インボイス制度への対応は、大企業が先行し、中堅企業が取り組み始めたところ。中小企業や個人事業主は未だ様子見だと見られる。「MID中心に需要増大を感じている」と佐々木氏が言うように、大企業だけでなくMIDにも需要が顕在化し始めてきた。
ただし統合型ERPを特徴とするfreeeは、規模の大きい企業への導入にはハードルもあった。経費精算から会計システムまですべてが一体化しているfreeeは、それぞれの機能が連携して動く利点もあるが、導入時にすべてをまとめて入れ替える必要があるからだ。
そのためMID攻略においては、freee内の機能を個別に切り出して販売する手法も採り始めた。21年12月には、経費精算とワークフローを切り出して、単独の「freee経費精算」として提供開始。さらに、会計機能だけを省いた「freee経理」も22年8月に提供を始めている。そして今回、MID向けのインボイス受領サービスであるsweeepを手にし、MID開拓の武器を揃えてきたわけだ。
「インボイスには対応しても、会計プロセスをどうするかはまだ決めていないところが多い。インボイス制度が始まってから、『これ運用してみると大変だね』と気づくところが多いと認識している」と佐々木氏。インボイスをきっかけにsweeepの導入を進め、それを足がかりに本丸の会計も含めたERPの置き換えを狙うという考えだ。
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