freee人事労務、基本料金ゼロ円化し“値上げ” 迫る、中小企業の割増賃金50%引き上げをサポート
freeeは3月2日、給与計算や労務管理、勤怠管理などをセットにしたSaaS「freee人事労務」の料金プランを変更したと発表した。基本料金をゼロ円とし、小規模事業者でも導入しやすくする反面、従業員人数に応じた従量料金は値上げする。
freeeは3月2日、給与計算や労務管理、勤怠管理などをセットにしたSaaS「freee人事労務」の料金プランを変更したと発表した。基本料金をゼロ円とし、小規模事業者でも導入しやすくする反面、従業員人数に応じた従量料金は値上げする。
同社が人事労務にテコ入れするのは、この秋に控えたインボイス制度への対応需要の次をにらんでだ。この春から2023年にかけて、労務関係で法改正の施行が続く。これに対応することで、幅広い業種への導入を目指す。
19年4月に施行された、働き方改革関連法案では、長期時間労働の是正や同一賃金同一労働、働き方の多様性などの実現を目指した。大企業では当初から、月間60時間超の時間外労働について、割増賃金が引き上げられたが、中小企業や医療、建設、運輸業界については実施が猶予されていた。
23年4月からは、中小企業においても時間外労働の割増賃金が50%に引き上げられる。また、24年4月には上限規制が、医療、建設、運輸にも適用開始となる。
freeeは、freee人事労務の中小企業導入を狙い、基本料金を無料化する。また、医療、建設、運輸業界への導入を強化するため、それぞれ専門のチームを社内で組成し、各業界で必要となるテンプレートや新機能などを開発、提供する計画だ。
基本料金は無料となるが、従業員1人あたりの従量料金は値上げする。既存プランについても、6月中旬から随時新プランに切り替えていき、約1年ですべて新プランに移行する。固定費用がなくなり、従量費用となるため「大企業では合計月額費用が増加するが、小規模企業では減少する」(HR事業プロダクトマーケティングマネージャーの和田矩明氏)。
現行プランと新プランは機能が一対一で対応していないが、下記の場合では値上げとなる。ミニマムプランでいえば社員数13人以上、ベーシックからスタンダードへの移行では社員数10人以上、プロフェッショナルからスタンダードへの移行では社員数72人以上、エンタープライズからアドバンスでは社員数358人以上。上位プランほど基本料金撤廃の恩恵が大きいため、顧客の一部は上位プランに移行するとfreeeでは見る。
「既存顧客の平均費用(ARPU)は増加する」(同)と、事業的には増収の機会とも捉えている。
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