慌てるな 免税事業者はインボイスどうすればいい? 税理士にぶっちゃけて聞いてみた(1/5 ページ)
年商1000万円以下の免税事業者は、インボイス制度にどう対応したらいいのか? メリットとデメリットを、税理士の杉山靖彦さん(杉山会計事務所代表)に聞いた。
消費税の「インボイス制度」が2023年10月にスタートする。これまで消費税を免除されていた免税事業者は、対応を迷っている人も多いだろう。
年商1000万円以下の免税事業者は、「免税」名が示す通り、消費税の納税を免除されている。だが、制度スタート以降は、(1)免税を維持する、(2)インボイスを発行事業者になって消費税を納める――の2択になる。
それぞれのメリットとデメリットを、税理士の杉山靖彦さん(杉山会計事務所代表)に聞いた。
インボイスは「国が消費税を取りっぱぐれないようにする制度」
そもそも「インボイス制度」とは何でしょうか?
消費税は原則として、顧客から預かった分と、自分で払った分の差額(売上税額−仕入税額)を納税します。ですがこれまでは、誰が誰にいくら払ったのか、あいまいな面がありました。
インボイス制度は、消費税を、誰から/誰が、いくら受け取った/払ったのかを明確にすることによって、国が消費税の取りっぱぐれがないようにする、という目的です。国は、制度の導入によって2480億円程度の税収増を見込んでいます。
制度スタート後は、領収書(インボイス)に、各事業者の「インボイス番号」や税額などが明記されます。インボイス形式でない領収書の消費税は、(移行措置はありますが)売上税額から差し引く(税額控除)ことができなくなります。
免税事業者はぶっちゃけ、どうすればいいの?
免税事業者への影響は?
制度スタート後は、免税事業者の取引先において、差引くことができない消費税分の負担が増えることになります。
もし、免税事業者がインボイス発行事業者になると、新たに消費税を支払う(課税事業者に変わる)ことになり、税負担が増えます。一方で、取引先は引き続き消費税額控除ができるため、今までと変わらず取引先の税負担は増えません。
免税事業者はどう対応するのが正解でしょうか? 免税のままでいていいのか、インボイス発行事業者になるべきか……。
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