慌てるな 免税事業者はインボイスどうすればいい? 税理士にぶっちゃけて聞いてみた(3/5 ページ)
年商1000万円以下の免税事業者は、インボイス制度にどう対応したらいいのか? メリットとデメリットを、税理士の杉山靖彦さん(杉山会計事務所代表)に聞いた。
登録締切は「3月ではなく9月」 取り消しも可能
10月からインボイス発行事業者になるための申し込み締め切りはいつですか?
9月末です。当初3月末でしたが、9月末まで延長されました。
ただ、9月末は申請が混雑するので、10月1日にインボイス番号発行が間に合わない可能性があります。9月ぐらいまでにインボイス発行事業者になるかを検討して、なると決めたら9月の早い段階までに申請するといいでしょう。
10月1日以降も、インボイス発行事業者申請はできます。23年内は様子を見て、24年1月からインボイス事業者になる、ということもできます。
インボイス発行事業者になった後、取り消すことはできますか?
できます。まず、22年9月30日の制度スタート前までなら取り下げる旨の書類を税務署に出せば取り下げられます。10月1日以降は、所定の書類を税務署に提出することで、翌課税期間から(個人事業主なら翌年の1〜12月)登録を取りやめることができます。
インボイス登録し、取引先にインボイスを発行した後、登録を取り下げた場合は、取引先に必ず通知しましょう。そうでないと、取引先が、控除できないはずの消費税額を控除対象として誤って計算してしまうことになります。
値上げ要求の機会にも
インボイス対応を機に、取引先に値上げ要求をするのはどうでしょうか?
そうですね。給料・人件費アップが叫ばれているご時世ですから「インボイスに対応するので、人件費を上げてほしい」と訴えるのがいいと思います。インボイスに対応する前に交渉するのがポイントです。
値上げ率は、消費税分を上乗せすると良いのではないでしょうか。例えば、これまで税別1万円、税込み1万1000円の報酬をもらっていたとしたら、インボイス対応後はさらに10%上げて1万2100円にする――というイメージです。
私は企業とお話することも多いのですが、余裕のある企業には、取引先の免税事業者がインボイスに対応してくれたら、値上げを提案するようおすすめしています。今はどの業界でも、人件費などの値上げが検討されている時期ですし。
「取引先には当面、インボイス対応を求めない」と表明している企業もあります
インボイス制度スタート後3年間は、免税事業者からの仕入税額相当額の80%を控除できる「2割特例」という緩和措置があります。つまり、本来の2割(消費税10%のうち2%)の税負担で済むわけです。
発注側も、2割ぐらいは誤差だと思っているところがありますし、免税事業者は、インボイス制度が始まった後も発注が減らなければ、当面3年間は影響がないでしょう。ただその後の3年間は、控除の割合が80%から50%に下がり、6年後にはゼロになる予定です。
消費税は今後、上がる可能性があります。今は税率10%で、緩和措置もありますから、企業が免税事業者の分をかぶっても負担は小さいかもしれません。ですが、例えば、税率が20%になった時に、免税事業者とインボイス事業者で価格に1割も差があれば、取引先もインボイス事業者を選ぶかもしれません。
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