三木谷氏もサプライズ登場の「MWC」 最大のテーマは「O-RAN」、キラーを模索中の5G:房野麻子「モバイル新時代」(1/4 ページ)
2月27日から3月2日までの4日間、スペイン・バルセロナで世界最大のモバイル展示会「MWC Barcelona 2023」が開催された。久しぶりの完全リアル開催となったMWCの見どころをお伝えする。
2月27日から3月2日までの4日間、スペイン・バルセロナで世界最大のモバイル展示会「MWC Barcelona 2023」が開催された。
2020年はコロナ禍で中止、21年はオンラインとのハイブリッドで夏に開催、22年からようやくスケジュールを戻してリアルで開催された。前回はFFP2規格に準拠したマスクの着用が求められたが、今回はそれもなく、消毒液を見かける程度で、筆者の感覚では99%がノーマスク。出展者、来場者も以前に近い賑わいになっていた。
「O-RAN」が最大のテーマ
今回のMWCで最も注目されたテーマが「O-RAN」だ。O-RANとはオープンなRAN(無線アクセスネットワーク)を指す。
従来、携帯電話基地局は1つのベンダーの製品で構築されるクローズドなシステムだったが、それをオープン仕様に基づき、さまざまなベンダーの製品を組み合わせて作るのがO-RANだ。多くのブースでO-RANのデモが行われ、各ベンダーはO-RAN対応をうたった製品をアピールしていた。
実は日本はO-RANにいち早く取り組んでいる国だ。ドコモは以前から、さまざまなベンダーの機器を組み合わせた基地局を展開してきており、O-RANを推進する業界団体「O-RAN Alliance」の設立メンバーだ。MWC初日の2月27日には、ドコモのO-RANのノウハウを世界に向けて販売するためのブランド「OREX」を発表した。
また楽天の通信プラットフォーム事業組織の楽天シンフォニーは、MWC2日目にイベントを開催し、楽天モバイルの仮想化ネットワークをアピールした。楽天モバイルのネットワークは仮想化され、O-RANに対応した機器で構築されている。
イベントに登壇した楽天グループ 会長兼社長の三木谷浩史氏は、「当初は誰もが(仮想化やO-RANは)『難しいよ』と忠告した。でも4年経って、楽天モバイルの仮想化ネットワークとO-RANの性能が優れていることが明らかになった」と胸を張った。
イベントにサプライズ登壇した三木谷氏。イベント終了後は日本の記者の囲み取材に応じ、ドコモがOREXで海外展開に本格的に取り組むことに対し「お手並み拝見」とコメントした。
富士通やNECもブースを構え、O-RAN対応の基地局設備を展示していた。
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