GPT-4とは大きな差、それでもバイドゥの「中国版ChatGPT」が有望な理由:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(6/6 ページ)
中国IT企業のバイドゥ16日、テキストや画像を生成するAI「文心一言」(ERNIE Bot)を発表した。米OpenAIが直前にリリースした「GPT-4」に比べて完成度が低いとされるが、既に650社が文心一言との協業を表明したという。この期待の高さはどこからくるのか。背景を紹介する。
とはいえ、バイドゥの株価は1月末からChatGPTバブルに乗って10%以上上昇しており、文心一言の発表で一旦「材料出尽くし」となった面もある。その後の株価は再び上昇基調にある。
中国では「中国版ChatGPT」の開発競争が加速しているが、検索ポータルの運営を本業とする同社は、データ蓄積でも検索サービスへの応用でも優位性がある。また、李CEOが発表会でも言及したように、同社はAIチップ「クンルン(崑崙)」を生産し、深層学習プラットフォーム「PaddlePaddle」を運用し、さらにクラウド、自動運転のような活用できる事業も手掛ける。
リリース前から既に650社が協業を表明していることからも、少なくとも中国ではバイドゥが中国版OpenAIに最も近い位置にあると評価されているのが分かる。
ある中国IT企業の技術幹部は、「中国が米国のサービスをブロックしている以上、バイドゥは守られた環境で成長できる。同社だけでなく、半導体やクラウドなど周辺産業にとっても大きな機会」と語った。
筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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